研究課題/領域番号 |
24656255
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
岡元 智一郎 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (60313566)
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研究分担者 |
高田 雅介 長岡技術科学大学, 学内共同利用施設等, その他 (20107551)
黒木 雄一郎 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (90324003)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 酸素センサ / 表皮効果 / 応答時間 / 拡散係数 / 微細構造 |
研究概要 |
エネルギー・環境問題への懸念や安全・安心・快適な生活への要求から、酸素センサの活躍の場が広がっている。既存の酸素センサは、現在の多様なニーズに対応できなくなっている。本申請者らが見出したホットスポット現象を利用した酸素センサ(ホットスポット酸素センサ)は、高い汎用性と信頼性を併せ持つ。また、応答性において更なる特性の向上が期待できるため、広範囲の分野における多種多様な利用が期待できる。そこで、本研究では、ホットスポット酸素センサの高速応答化を目指して、I.材料中での酸化物イオンの拡散挙動の新規解析法の確立、II.材料中の酸化物イオンの拡散速度を向上させる組成・微細構造の設計、III.所望の微細構造を実現する新規合成法の開発を目的として、以下の研究を行った。 平成24年度は、I.酸化物イオンの拡散挙動の新規解析法の確立に向けて、高周波数(~ 3 GHz)領域で現われる表皮効果を利用したインピーダンス解析を検討した。また、II. 材料中の酸化物イオンの拡散速度を向上させる微細構造の設計、III.所望の微細構造を実現する新規合成法の開発に向けて、芯を有する線材や造孔剤としてゼラチンやグラファイトを用いて作製した線材の微細構造がホットスポット酸素センサの特性に与える影響について検討した。本センサの応答時間は、雰囲気の酸素濃度が減少した場合には、線材の内部から表面に(酸素濃度が増加した場合には、表面から内部に)酸化物イオンが拡散する時間に相当することから、線材の断面構造・微細構造(粒径、気孔)と酸素の拡散係数(固相拡散、気相拡散)やセンサ特性との間の関係について重要な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、I.材料中での酸化物イオンの拡散挙動の新規解析法の確立、II.材料中の酸化物イオンの拡散速度を向上させる組成・微細構造の設計、III.所望の微細構造を実現する新規合成法の開発の3項目を目的としている。解析、設計、合成のそれぞれについて、当初の計画に沿って、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続き、I.表皮効果を用いた高周波インピーダンス解析、II.微細構造の設計とそれを実現する為に必要となる、III.合成法の開発を行う。高周波インピーダンス解析から得られる酸化物イオンの動的挙動の知見を基に、適切な組成・微細構造を設計する。物質の拡散は、固相、粒界、表面、気相の順番で早くなることから、これらの特性を考慮した設計を行う。材料の合成については、化学的手法と機械的手法の両面からのアプローチを検討する。造孔材として用いる材料の種類と混合量、成形工程、焼成温度と時間を変化させ、これらの作製プロセスと組成・微細構造との関係についても評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
高周波領域でのインピーダンス解析のために、高周波発信器用部品の購入を計画している。また、材料の合成や測定に必要な消耗品費、国内および国際学会発表のための旅費、その他、論文投稿費用について支出を予定している。
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