研究課題
導電性の圧電体では内部電界が短絡してしまうため、低周波の音速分散として圧電性を評価することが難しい。しかし、GHz域以上の超高周波数の弾性波を用いれば、内部電界の短絡を防ぐことができ(音響電気効果)、音速分散として圧電性を評価できる可能性がある。そこで、本研究では、Brillouin光散乱を用いて圧電性が高いと予想される強誘電体材料の超高周波帯域の音速を測定し、非接触・非破壊の圧電評価システムの開発を目指している。24年度に引き続き、GaNやPZT系の透明で低抵抗の圧電体を対象として研究を進めた。実際に比較的低抵抗のGaNバルク材料を用い、300℃以上の幅広い温度範囲で、数GHzから十数GHzの周波数領域で縦波・横波音速の分散測定に成功した。また、顕微システムの利用により、音速測定領域が直径10マイクロメートル程度と微小であるため、試料内の音速分布も測定することができた。音速の温度分散測定では、GaN試料中の縦波音速が数十m/s程度の音速分散を示し、この周波数範囲で音響電気効果による音速増大が観測される可能性を見出した。この音速分散の値は、単結晶の報告値から推測される理論値と同程度であった。ただし、今回の測定では音響電気効果が生じない横波も特徴的な温度変化を示した。このため、圧電性の評価については、今後より詳細な検討が必要となる。また、より高精度に簡便に圧電性能を評価する次期計測システムの開発を進めた。具体的には、マイクロ波の照射により圧電体の試料中にコヒーレントなGHz域の弾性波を発生させ、この弾性波による強いBrillouin光散乱の励起に成功した。
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IEEE Trans. Ultrason., Ferroelect., Freq. Contr.
巻: 61 ページ: 未定
in press
巻: 60 ページ: pp.873-876
10.1109/TUFFC.2013.2643