研究課題/領域番号 |
24656261
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
大石 潔 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (40185187)
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研究分担者 |
和田 安弘 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70293248)
宮崎 敏昌 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (90321413)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 制御システム |
研究概要 |
本研究課題を2年間で完遂するために、初年度の平成24年度では、射出成形機の射出軸に対して非線形摩擦と機械共振と観測ノイズの影響を受けない力制御系による高性能電動射出成形機を開発するための基礎的な手法を確立する。各軸のシステム同定に必要な実機データを様々なトルク指令に対して収集した。 この実験成果より、カルマンフィルタによる観測ノイズの影響のない速度情報を用いた高次外乱オブザーバを構成した。射出成形機の高速サンプリングの力覚センシングの理論的検討と実機への実装法を検討した。同時に、実測データより高性能射出成形機に必要な仕様の評価・装置の設計を行った。また、1KHz力制御のための数学モデルを検討した。 以上の研究成果によって、目標とする電動射出成形機の基本アルゴリズムを設計し、DSPのソフトウェア及びFPGAのハードウェア上での実装化を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を2年間で完遂するために、初年度の平成24年度では以下を目標とした。 「射出成形機の射出軸と型締め軸の2軸に対して非線形摩擦と機械共振と観測ノイズの影響を受けない力制御系による高性能電動射出成形機を開発するための基礎的な手法を確立する。各軸のシステム同定に必要な実機データを様々なトルク指令に対して収集する。この成果より、カルマンフィルタによる観測ノイズの影響のない速度情報を高次外乱オブザーバに結合させるとともに、射出成形機の10KHz帯域力覚センシングの理論的検討と実機への実装法を検討する。同時に、実測データより高性能射出成形機に必要な仕様の評価・装置の設計を行う。また、1KHz力制御のための数学モデルを導出・検証する。上記の研究の進捗に合わせて目標とする電動射出成形機の基本アルゴリズムを設計し、DSPのソフトウェア及びFPGAのハードウェア上での実装を開始する。」 上記の目標は、平成24年度の研究実績に記載したとおり、平成24年度におおむね実行している。したがって、現在までの達成度は、「おおむね順調に進展している。」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の平成25年度は、前年度の研究成果である高速サンプリング力覚センシング手法を、射出成形機の射出軸に実装して、その有効性を検証する。同時に実機への実装の前段階として模擬機による力覚フィードバック制御系の実験を行う。模擬機の成果を用いることで、推定反力と実測値との実験的データ比較や1KHz力制御系の妥当性を検討し、力覚センシングを広帯域化・高性能化を評価する。また、力覚情報をプラスチック樹脂からの反力を考慮した広帯域力覚フィードバック制御法を検討して、シミュレーション解析により理論的検証を行う。これらの検証実験結果を総合し、本研究課題である「1キロヘルツ力制御応答が実現する次世代高性能電動射出成形機」を、実装化の総合評価を行う。 大石研究室に現有している75トン射出圧の電動射出成形機に、実際に高速サンプリング力覚フィードバックを実装する。そして、1KHz力制御応答のための高性能電動射出成形機の製品精度と製造効率、及び、作業効率とエネルギー効率を含めた実験データ収集及び実験データの理論解析をする。従来法との比較検討を行うために、実験結果に基づいて解析検証を行い、1KHz力制御応答システムの有用性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題である「1キロヘルツ力制御応答が実現する次世代高性能電動射出成形機」を、模擬機に実装し、その後、本格的な実機に実装化を行う。そのために、平成25 年度においては、模擬機製作のための機械部品に450 千円を計上する。また、最終的な検証実験に用いるための実測データ取得用のインターフェース回路の電子部品に630 千円を計上する。模擬機及び検証機で実験データを高精度に解析するための専用ソフトウェアに370 千円を計上する。これまでの研究成果を社会に還元するため、国内外の学会活動にて発表講演を行う。そのため、研究分担者、連携研究者及び研究協力者との打合せのための国内旅費として150 千円、国内での研究成果発表のための国内旅費として200 千円、国際会議での研究成果発表のための外国旅費として300 千円を計上する。
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