研究課題/領域番号 |
24656263
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大塚 敏之 京都大学, 情報学研究科, 教授 (40272174)
|
キーワード | 非線形システム / 制御理論 / 可換環論 / 代数幾何 / システム解析 / 最適制御 |
研究概要 |
本研究の目的は,離散時間多項式システムを主な対象とし,(1)有限の計算手順による可制御性判別法の構築,(2)有限の計算手順による安定性判別法の構築,(3)最適制御問題を確実に解くアルゴリズムの構築,(4)数式処理言語による可換環論的アルゴ リズムの実装,(5)可制御正準形の拡張,(6)安定化状態フィードバック制御の設計方法構築,(7)幅広い分野の実問題への応用,を達成することである.このうち,(1)~(3)に関しては平成24年度までにある程度の成果が得られている. 平成25年度には,有限時間最適制御問題の解法を有理式システムへ拡張するとともに,ある仮定の下では,単なる逐次代入によって,未知の共状態(随伴変数)を陰関数表示できることを明らかにした.また,一般的な場合でも,数式処理言語によって自動的に陰関数表示を構築するツールを開発した.非線形システムの正準形に関しては,微分作用素の非可換環を利用して,ある種の正準形を構築する方法を見出しつつある.フィードバック制御の設計方法に関しては,状態ではなく観測出力の関数としてフィードバック制御則を構築する方法を検討した.一般に,出力フィードバックの設計は困難な問題として知られているが,本研究では,参照モデルを実現する多項式型出力フィードバック制御則の存在条件と構成方法を明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現状では,幅広い分野の実問題への応用を除き研究目的を順調に達成している.さらに,可換環論より一般的な非可換環を用いた手法については当初の計画以上に進展しており,たとえば,線形システムの固有値や伝達関数の概念を非線形システムに拡張するアプローチは,今後の新しい方向性を切り拓くものと期待される.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,研究成果として得られた手法の応用にも力を入れていく.同時に,予想外の進展を見せている非可換環的アプローチに対しても注力し,先駆的な成果を早急にまとめるよう努める.さらに,有限時間最適制御問題の解法を状態推定など他の問題にも展開し,新しい体系の根幹部分を確立することを目指す.
|
次年度の研究費の使用計画 |
旅費と謝金の支出が当初の計画よりも少なかった. 次年度出張旅費に充てるほか,現在投稿している論文の英文校閲料や掲載別刷料にも一部を充当する.
|