研究課題/領域番号 |
24656265
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
堀口 敬 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30094816)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ルナコンクリート / 宇宙コンクリート / 水不要コンクリート |
研究概要 |
本研究は、将来の月面構築物の主要材料として考えられる『水の不要なルナコンクリート製造法』の様々な可能性を実験的に検証し、それらの材料の評価により月面構造部材の設計システムの確立に関する研究である。このため、本研究では3年計画の研究計画を立案し、初年度はルナコンクリートの製造手法に関する検討を中心に行い、次年度では月面環境下での物性評価に関する研究を中心に行い、最後の年に開発されたルナコンクリートを用いた月面構築物の設計システムの構築に関する検討を行うものである。 水の不要なルナコンクリートの様々な製造法に関する検討を中心に行う。この研究で採用する製造法は以下の4項目;①バサルトコンクリート、②硫黄コンクリート、③ポリマーコンクリート、および④その他のルナコンクリートである。これらの水の不要なルナコンクリートは、一般的に用いられる建設材料ではないものの地球上での実績をすでに有しているものが多い。本年度では、これらのコンクリートの月面での材料確保の可能性と月面での最適な製造方法に関する検討を中心に実施する。さらに時間が許せば、月面環境下での諸物性の把握に関する検討を行う。月面環境下における諸物性の把握として、ルナコンクリートを用いた月面構築物の設計に必要な物性としては、高温・低温環境下における強度、応力ひずみ曲線、耐衝撃性の把握、高真空環境下における諸物性の変化などがあり、これらに関する検討を行う。また、必要な追加実験・補充実験を各項目に関して実施する。なお、④の項目については、今後の月探査計画の成果にも考慮して柔軟に様々な可能性について対応する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バサルトが月に豊富な資源であること、地球の成分に類似であることはルナ計画によってもたらされた380キログラム以上のサンプルから明らかである。このバサルトを高温で溶融して成型するバサルトコンクリートの技術は、東欧で古くから用いられている。本年度では、こうしたバサルトコンクリートの製作可能性を調査し、基礎的な検討・繊維補強等の必要性を詳しく検討した。 月では、Troilite(FeS)として存在する鉱物から硫黄を抽出することにより、硫黄コンクリートの製造が可能である。地球上では、硫黄コンクリートが建設材料として一部の分野に適用され、耐食性に優れた建設材料として注目されている。比較的新しい材料であり、特に高温下での力学的物性の変化や耐衝撃特性などはあまり知られていない。本年度では、基礎的な検討・繊維補強等の必要性を詳しく検討する。 ポリマーコンクリートの歴史は古く、すでに建設材料として多方面に使用されている。セメントの水和を期待しないポリマーとしては、エポキシ樹脂がよく知られている。本年度では、エポキシ樹脂を中心としたルナコンクリートの製造について検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
現在月面探査計画の成果によって380kg以上の月資源が地球にもたらされ、その分析が行われている。 今後の研究の推進方法としては、前述した四種類の材料開発とそれらの性状を検討し、さらに、これらのデータを分析してルナコンクリートのバインダーとなりうる可能性のある物質を特定し、検討を行う。この項目については、今後の月探査計画の成果にも考慮して柔軟に様々な可能性について対応する。例えば、様々な繊維強化プラスチックの製造法の可能性や金属をマトリックスにした繊維強化メタルの可能性を追求する。あるいは、月の極に大量の氷が発見された場合には、改めて水和反応を利用したルナコンクリートの製造法についても追加して比較する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は前年度とほぼ同様であり、消耗品と旅費に分けられる。 消耗品に関しては、前年度と同様に大部分が実験によって構成されるため、これらの実験の成果によって研究目的が成就される。そのため、実験器具と実験材料の支出が主である。すでに本研究計画を実施するに当たっての準備状況において記述したように、すでに必要な基本設備は整っており、新たな大規模設備備品費は必要としない。各種試験に必要な各種の繊維やルナコンクリート材料に関するものである。 旅費の部分での次年度の研究費の使用計画では、主な項目は国内外での資料収集と調査に関するものである。海外の旅費については、ルナコンクリート製造法の資料収集(東欧諸国、スペイン)と国際会議における海外の研究者との打ち合わせが主なものである。
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