研究課題/領域番号 |
24656265
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
堀口 敬 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30094816)
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キーワード | ルナコンクリート / 宇宙コンクリート / 水不要コンクリート |
研究概要 |
本研究は、将来の月面構築物の主要材料として考えられる『水の不要なルナコンクリート製造法』の様々な可能性を実験的に検証し、それらの材料の評価により月面構造部材の設計システムの確立に関する研究である。このため、本研究では3年計画の研究計画を立案し、初年度はルナコンクリートの製造手法に関する検討を中心に行い、次年度では月面環境下での物性評価に関する研究を中心に行い、最後の年に開発されたルナコンクリートを用いた月面構築物の設計システムの構築に関する検討を行うものである。 本年度は、前年度の研究を継続して実施し、月面構築物の設計に必要な諸物性を明らかにする。月面環境下における諸物性の把握として、ルナコンクリートを用いた月面構築物の設計に必要な物性としては、高温・低温環境下における強度、応力ひずみ曲線、耐衝撃性の把握、高真空環境下における諸物性の変化などがあり、これらに関する検討を行う。また、必要な追加実験・補充実験を各項目に関して実施する。なお、今後の月探査計画の成果にも考慮して柔軟に様々な可能性について対応する。例えば、様々な繊維強化プラスチックの製造法の可能性や金属をマトリックスにした繊維強化メタルの可能性についても追求する。あるいは、月の極に大量の氷が発見された場合には、改めて水和反応を利用したルナコンクリートの製造法についても追加して比較する。 バサルトコンクリートの製造と月面環境下での物性評価、硫黄コンクリートの製造と月面環境下での物性評価、ポリマーコンクリートの製造と月面環境下での物性評価、およびその他のルナコンクリートの製造と月面環境下での物性評価である。なお、それぞれの材料に関する具体的な検討項目は、高温・低温環境下における線膨張係数、圧縮・引張強度、応力ひずみ関係、耐衝撃性の把握、高真空環境下における物性変化である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、硫黄コンクリートの製造に関してほぼ実験を終了し、大きな成果が得られた。月では、Troilite(FeS)として存在する鉱物から硫黄を抽出することにより、硫黄コンクリートの製造が可能である。地球上では、硫黄コンクリートが建設材料として一部の分野に適用され、耐食性に優れた建設材料として注目されている。比較的新しい材料であり、特に高温下での力学的物性の変化や耐衝撃特性などはあまり知られていない。本研究では、月面環境下における焼成温度と熱収縮、力学的物性を詳しく検討し、その耐久性を明らかにする。構造部材としての所用性能、基礎的な検討・繊維補強等の必要性を詳しく検討する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、各種の月面構築物に対応したルナコンクリートの選択と設計に関するシステムの確立を行う。平成24年度および25年度に得られた成果により、様々な製造法によるルナコンクリートの力学的物性が詳しく検討され、それぞれの製造法に関して最適な手法が確立され、月面環境下での諸物性が明らかになることから、それぞれの月面構築物に対応した設計システムの構築が可能となる。本年度では、各種の月面構築物を対象としたルナコンクリートによる設計システムを構築する。対象とする構築物には、ルナダスト対策を主目的とした月面簡易舗装、通信アンテナ等の基礎構造物、各種構造部材などが挙げられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験計画に変更があり、使用材料に多少の増減があったため。 次年度の実験予算に補填する計画である。
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