研究課題
炭素繊維材料を接着することによる,鋼やコンクリートの社会基盤構造物の補修・補強が行われ始めている.この工法の課題としては,鋼あるいはコンクリートの線膨張係数(10~12μ/℃)と炭素繊維材料の線膨脹係数(ほぼ0μ/℃)が大きく異なるため,温度変化を受けて鋼あるいはコンクリート部材に内部応力(熱応力)が生じること,ならびに当て板のはく離が問題となることが挙げられている.本研究では,この課題を解決するために,炭素繊維材料と共に,線膨張係数が23μ/℃の構造用アルミニウム合金を接着して,鋼あるいはコンクリート部材に生じる熱応力自体を低減させる新たな工法を提案した.また,当て板接着に対するはく離評価法についても検討を行った.平成25年度は,温度低下(20℃→-10℃)によって炭素繊維とアルミニウム合金材が接着された鋼板に生じる熱応力の検証実験を行った.また,炭素繊維とアルミニウム合金材が部材の片側に接着された鋼板の長期暴露試験を行い,季節の気温の変化によって,炭素繊維のみを片側に接着した場合は鋼板に熱応力が生じるが,提案した炭素繊維とアルミニウム合金材が接着された鋼板では熱応力が大幅に低減していることを確認した.温度変化量と材料定数から,理論解析あるいは理論に基づく固有値解析手法(簡易計算手法)を行って,実験結果を概ね再現できるこを確認した.炭素繊維接着補修・補強の課題の一つである,当て板接着に対するはく離評価法に関して,理論解析や理論に基づく固有値解析法を用いて計算される接着剤に生じる応力を用いた評価を行った.その結果,当て板の端部の接着剤に生じる主応力によって,ある程度はく離を評価できることが明らかとなった.
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
土木学会論文集A2(応用力学)
巻: Vol.69,No.2 ページ: I_701-I_710
10.2208/jscejam.69.I_701
Asia-Pacific Conference on FRP in Structures, APFIS
巻: APFIS Melbourne会議 ページ: Paper No.8
巻: APFIS, Melbourne会議 ページ: Paper No.17
http://csd.kuciv.kyoto-u.ac.jp/introduction.html