本研究は、コンクリートのヤング係数、一軸収縮拘束供試体(以下、拘束供試体)の鉄筋ひずみすなわちコンクリート応力、および一軸自由ひずみが容易にかつ高い信頼性を持って実測できることに着目し、線形クリープ則の成立を前提として、載荷時材齢の異なる引張クリープ係数モデルの開発することを目的とした。 実鉄筋比を0.1%~2.4%の6水準として鉄筋ひずみ、コンクリートの自由収縮ひずみを測定した。供試体は材齢7日までは20℃水中養生とし、20±1℃、相対湿度60±5%の恒温恒湿室に搬入した時点を初期値とした。 W/C=0.5で鉄筋比0.1%および0.3%の鉄筋ひずみは2回にわたり自由収縮ひずみより大きく、測定方法等が正しければ、説明できない現象が認められた。そのため鉄筋ひずみー鉄筋比の関係を求め、これから鉄筋比0%のひずみを自由収縮ひずみとした。鉄筋ひずみから求めた単位クリープひずみは、鉄筋比が1%以上の3水準に限定すれば、鉄筋比に依存せず平均値に対し±20%以内となった。解析では平均の単位クリープひずみを用いて載荷時材齢の異なるクリープ係数の増分の導出を行った。これにより載荷時材齢の異なる増分クリープ係数は得られたが、乾燥開始材齢をすべての拘束供試体で同じとしたため、第2ステップであっても第1ステップのクリープ係数と同じになり、これまでの説と異なるため今後の課題とした。 この課題に関連し、PCはりの鋼材ひずみ、これと同断面の供試体の自由収縮ひずみから、プレストレス導入時を載荷時材齢とするクリープひずみを導出する方法を考案した。この方法はコンクリートの変動応力を双曲線で近似し、クリープひずみの定義にしたがい材齢係数を用いることなくクリープひずみを求めるもので、これと導入時応力によるクリープひずみを加算して求めたクリープ係数はクリープ供試体から求めたそれとほぼ一致し、妥当性を確認した。
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