橋梁は地震によりいったん被災すると容易に復旧できないため、交通施設の機能低下に直結する重要な施設であり、耐震性の向上が求められている。 E-ディフェンスを用いた実大RC橋脚に対する震動実験によると、現在の耐震基準で設計されたRC橋脚でも、設計地震力を1.5倍程度上回る大きな地震動作用下では、圧壊したコアコンクリートが鉄筋かごから逸脱して橋脚が終局状態を迎えることが明らかとなっている。地震動強度の推定に大きな幅がある現在、設計地震力を上回る地震動作用下でも、変形性能を確保できる橋脚構造の開発が重要である。 このために、本研究では、圧壊したコアコンクリートの鉄筋かごからの逸脱を防止するため、コアコンクリートゾーンにIn-Core Shieldを設置することにより、現在は無筋状態となっているコアコンクリートを横拘束とせん断抵抗性能を有するインコアゾーンとすることにより、強力な地震動の作用下でも容易に曲げ破壊が進展しない新型橋脚を開発することを目的としている。In-Core Shieldについては、2009年度に、全、川島により鉄筋かごのすぐ内側にパンチングメタルとアラミド繊維シートを設置した橋脚が提案されているが、本研究はコアコンクリート内部にIn-Core Shieldを設置する構造を提案するものである。 このため、厚さを変えた2種類のパンチングメタルをコアゾーンに配置した直径350mm、有効高さ1.37mの模型2体を製作し、ハイブリッド載荷実験とその解析によりその有効性を検討した。この結果、In-Core Shieldを設置することにより、意図通り現在は無筋のコアコンクリートをインコアゾーン化することができ、橋脚の損傷を大幅に軽減できること、また、適切なIn-Core Shieldの剛性があること等を明らかにした。
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