研究課題/領域番号 |
24656279
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
後藤 芳顕 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90144188)
|
研究分担者 |
海老澤 健正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90332709)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 自己修復 / コンクリート充填橋脚 / 残留変位 / 局部座屈 / 水平2方向載荷 / 機能性材料 |
研究概要 |
平成24年度は,エネルギ吸収機能と残留変位の自己修復機能を有する鋼製橋脚の開発にあたりメカニズムの妥当性の確認と開発に必要となる数値解析ツールの高精度化を目的として,着想のきっかけとなった従来のコンクリート部分充填鋼製橋脚(以下,CFT橋脚)での自己修復機能を中心に実験,研究の両面より詳細な検討を行った.また,数値解析ツールにより,自己修復型CFT橋脚で重要な役割を果たす中間支圧鋼板形状について基礎的なパラメトリックスタディを実施した. (1) 従来のCFT橋脚の繰り返し載荷実験,振動台加振実験の実施:実際の地震時挙動を考慮し,CFT橋脚の水平2方向繰り返し載荷実験および水平2方向同時加振の振動台実験を実施した.この結果,一度生じた局部座屈が逆載荷時に修復され,CFT橋脚の終局挙動に支配的な局部変形が抑制されることと一度生じた残留変位が回復することを確認した.また,エネルギ吸収能も大幅に向上した. (2) 従来のCFT橋脚における地震時予測のための解析モデルの開発と自己修復メカニズムの解明:地震時終局挙動予測を行うための精緻な数値解析モデルを開発し,上記実験との比較により妥当性の検討を行うとともにキャリブレーションにより精度向上を図った.その結果,鋼管の局部応力も含め繰り返し荷重下のCFT橋脚の終局挙動を精度良く予測することが可能となった.また,CFT橋脚では鋼管が局部座屈後,充填コンクリートが圧縮軸力の大部分を分担することで鋼管に引張力が作用し,鋼管の局部変形が修復される自己修復メカニズムを明らかにした. (3) 自己修復型CFT橋脚の中間支圧板鋼板の形状のパラメトリックスタディ:自己修復型CFT橋脚の充填コンクリート内部に挿入される一対の支圧鋼板の最適寸法を高精度数値解析モデルを用いて,自己修復挙動,エネルギ吸収能の確保の観点から検討した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超塑性合金等の新材料の適用性の検討までは行えていないものの,当初では詳細な検討の予定のなかったCFT橋脚の自己修復メカニズムの詳細の解明と解析ツールの高度化が種々の実験により行うことができた.これは,自己修復CFT橋脚の開発において基本となる重要な項目であり,詳細なメカニズム解明は今後の研究開発において有用な知見を与えるものと考える.
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度では既存CFT橋脚の自己修復メカニズムの解明を行ったが,平成25年度ではこれを踏まえ開発対象となる自己修復CFT橋脚において同様のメカニズムを適用することの妥当性を水平2方向繰り返し載荷実験および詳細な数値解析により検討を行う.新材料の適用性についても並行して検討を行う予定であるが,学術的にも重要性が高く本開発の根本をなすこのメカニズムを中心に自己修復機構の詳細な検討に重点を置くことを考えている.
|
次年度の研究費の使用計画 |
自己修復CFT橋脚供試体の製作および治具など実験の費用に主に充てることを考えている.具体的には,エネルギ吸収能と自己修復機能について評価を行うことを目的に中間鋼板形状などを変化させた橋脚模型を製作し,水平2方向繰り返し載荷実験を行うことを予定している.
|