研究課題
一般的に降雨に起因する地盤災害は、災害発生時の降雨強度や降雨継続時間がその重要な要因として認識されている。しかし、世界に広く分布し、自然斜面や河川堤防の材料にもなる堆積岩は、乾燥と湿潤の繰返しを受けて風化が促進される。このような風化現象は、一般的にスレーキングと呼ばれる。また、湿潤時におけるスレーキングによる岩の強度低下の程度は、直前の岩の含水状態に依存することが知られている。そこで本研究は、降雨に先立つ干ばつの影響に着目して、地盤の強度変形特性を検討した。平成25年度は、降雨に先立つ干ばつの影響で生じた地盤災害の被災地において採取した原位置試料、およびその比較としてスレーキング指数の異なるいくつかの地盤材料(泥岩、砂岩、硅砂、グラスビーズ)を用いて力学試験を実施した。本研究では、異方応力状態を保ちつつ、試料の乾湿繰り返しが可能な改良型一面せん断試験機を用い、実際の斜面を構成する地盤に繰返し生じ得る応力状態を再現し、供試体の強度変形特性に及ぼす乾燥と湿潤状態の影響を調査した。一連の実験により、泥岩では湿潤時だけでなく乾燥過程においても大きなクリープ変位が生じることが判った。乾燥過程においては、せん断変位速度にピークが二つ生じるという特徴的な傾向が示された。これは、乾燥により失われる地盤の間隙水について、土粒子間の間隙(macro pore)と単粒子内の間隙(micro pore)を考慮することで説明できる可能性を示した。また、スレーキングによるクリープ変位、強度の低下率、および地盤材料の破砕の程度は、地盤材料のスレーキング指数と良い相関があることを示した。
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Bulletin of Earthquake Resistant Structure Research Center
巻: 46 ページ: 73-82
Proc. of the 3rd International Conference on Geotechnique, Construction materials and Environment
巻: 3 (1) ページ: 107-112
http://www.gdm.iis.u-tokyo.ac.jp/research_slaking.html