研究課題/領域番号 |
24656284
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
竹下 祐二 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (90188178)
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研究分担者 |
加藤 正司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10204471)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 土質安定処理 / たたき土 / 消石灰 |
研究概要 |
本研究では,日本古来の伝統的な左官技術として知られている「たたき工法」に着想を得て,石灰系微粉体による常温固化技術を用いた安心・安全な地盤材料の開発を行う。天然の地盤材料には見られない付加価値と環境保全に係わる機能を有する地盤材料の実用化および土質安定処理技術の確立が最終目標であり,環境にやさしい地盤づくりへの貢献が期待される。H24年度の研究実績は以下のようにまとめられる。 (1)「たたき土」の地盤工学的メカニズムの解明:たたき土の母材としてまさ土を選定し,その初期含水比や締固め後の養生期間が,たたき土における強度特性に与える影響を調べた。土の乾燥密度の影響を除くために,密度一定状態で締固めた「たたき土」を作成した。まさ土母材に消石灰、にがりの代替え材として塩水を添加し,含水比,養生期間の異なるたたき土試料を作成し,それぞれの試料について一軸圧縮試験を行って強度特性を検討した. (2) たたき土をブロック化した「たたきキューブ」の考案:簡単に作成でき,短期間で実用的な強度を有する低環境負荷の地盤材料づくりについて検討し,たたき土を立方体に成型した「たたきキューブ」を考案した。作成方法は極めて簡便であり,飲料水用1リットル紙パックを高さ7cmの型枠に入れて、たたき土の試料を3層に分けて突固めた。突き固めには,先端が正方形の塩ビ板(1辺6cm、厚さ1cm)を取り付けた突き棒(重150g)を用いた。その結果,1辺が約7cmのたたきキューブを各種の配合条件下において作成した。 (3)研究成果:今回の用いたまさ土試料によれば,乾燥密度1.6g/cm3において,たたきキューブを容易に作成することが可能であった。また、配合としては、母材の最適含水比近傍である含水比8%において、消石灰を乾燥重量比で10~15%程度添加することが適切であると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)「たたき土」の地盤工学的メカニズムの解明のため,初期含水比,消石灰の添加量,そして,養生期間がたたき土の強度特性に与える影響を調べた。この際,土の密度増加による強度発現の影響を除くために,密度一定の条件下で,たたき土を作成し,一軸圧縮試験を行うことができた。その結果,適切な試料配合設計案を作成した。 (2)たたき土をブロック化した「たたきキューブ」を考案し,誰でも簡単に作成でき,短期間で実用的な強度を有する低環境負荷の地盤材料づくりについて,研究の方向性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)たたき土の施工方法の改善提案:たたき土の施工労力の軽減と施工品質の向上を目的として提案した「たたき土キューブ」において,さらなる付加価値を与えること検討し,種々の配合条件のもとで試作を行う。 (2)たたき土のタイムカプセル化:たたき土の耐久性を探るには,長期にわたって継続的な強度実験調査を進める必要があると考えられる。そこで,「たたき土キューブ」を観測ヤードに設置し,将来(3年および5年後程度)の室内試験に備えてタイムカプセル化することを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
室内土質試験に必要な消耗品として,たたき土の作成に必要な試験材料や試験装置の試作費用等を計上する。また,研究分担者との研究打ち合わせ,研究資料の収集,研究成果の発表のために旅費を計上する。
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