研究実績の概要 |
浚渫工事によって海底から掘り出された浚渫土砂は,周辺地域における埋め立て事業などへ有効活用されてきた.しかし現在は,多くの土砂処分場において浚渫土砂の受入れ容量に限界が近づいていることが問題となっており,これに代わる土砂処分場を確保すること,高含水状態にある浚渫土を減容化することにより土砂処分場の容量を確保することが緊急の課題となっている. 本研究では,超音波照射によるシルトなどの細粒土の水中堆積土の減容化特性(目標減容化率30%)を明らかにする目的で,水中を堆積中の土粒子に対して水平方向から超音波を照射することによる室内試験を試みた.試験では,試料の種類(豊浦砂,7号ケイ砂,ケイ石粉)、超音波周波数(27.5kHz,40kHz,60kHz),出力電圧(100V,300V)の条件を変えて実験を行い,堆積土の相対密度,減容化率の変化について明らかにした. 出力電圧100Vの場合の超音波照射後の各試料30%粒径と相対密度および減容化率の関係において、粒径の大きい豊浦砂ではいずれの周波数においても100Vの出力電圧では他試料に比べ相対密度,減容化率は増加していないが、細粒土(7号ケイ砂,ケイ石粉)では周波数27.5kHz,40kHz,60kHzの順で減容化率は増加することが明らかになった。また、出力電圧300Vの場合では、相対密度は粒径の大きい豊浦砂においては減容化率については増加していないが相対密度は増加し、減容化率については出力電圧100Vに比べて各試料とも増加していることが明らかになった。特に、ケイ石粉の27.5kHzにおいては減容化率30%になることが明らかになった。 以上の結果より,超音波の照射方向を水平にすることにより水中堆積した細粒土の減容化特性を向上させる効果があることが明らかになった.
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