研究課題/領域番号 |
24656293
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 愼司 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90170753)
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研究分担者 |
武若 聡 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (80202167)
田島 芳満 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20420242)
下園 武範 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70452042)
劉 海江 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10600679)
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キーワード | 高波 / 台風 / 高潮 / 段波 |
研究概要 |
本研究では、環境劣化が深刻化している河口域において、可視画像とXバンドレーダー画像に基づき地形変化や流体運動の物理環境を監視するシステムを開発する。河口域は遠隔地にありがちで常時監視が困難なであるが、イベント時の環境急変過程を捉えることが重要である。これらの諸条件を踏まえて本研究では、常時自動監視によりイベントを抽出し、イベント発生時にはさらにカイトフォトと可搬型Xバンドレーダーを導入して、時間的にも空間的にも機動的なモニタリングを実現する。 平成25年度は、2007年7月の台風来襲により2~3時間で地形が大きく変化し、その後約1ヶ月にわたって河口環境が激変したことが観察されている静岡県浜松市の馬込川を対象として、環境監視システムの有効性を検討した。これらの環境変化は事前には時間・空間ともに予測が困難であるため、取得画像情報をリアルタイムで処理しながら、イベント前後では 撮影領域や画像取得頻度を機動的に変化させることが重要となる。そこで、定点カメラ・レーダーによる画像のステレオ分析やPIV分析から洪水時の水位と流量を推定し、イベントの発生とエネルギーレベルをリアルタイムに検出し、画像の取得頻度の変更や撮影範囲の変更などの動的な制御を試行した. その結果、河口部における高潮遡上は、1~2分程度の長周期変動を伴いながら、段波状の遡上波が発生する、非定常性の強い現象であることがわかった。これにより、高潮発生時には、河口部の流れが振動し、河川や海岸の堤防上での局所的な越波が生じる要因となることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究計画では、平成25年度は、定点監視モニタリングシステムからイベントを抽出する可能性について検討し、最終年度である平成26年に検討するシステムの実運用につなげる予定であった。監視対象としては、台風イベント時の河口部の波・流れとし、2007年度に取得されていた一連の監視画像データからイベント抽出を試みた。その結果、大きく環境が変化したイベントとして、2007年10月の台風来襲が抽出され、その後の詳細分析により、イベント時の水位上昇のメカニズムが画像データから取得可能であることが示された。このようなイベント発生時の高潮遡上機構は、データ取得が極めて困難なため、これまでに取得された事例はほとんどない。本研究の成果により得られた貴重なデータを分析することにより、河口部の防災に資する知見を得ることができた。これらの知見は、研究計画時に想定されていたもの以上の成果であり、研究は総じて順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は主として可視画像カメラによる高潮モニタリングデータを対象とした。今後は、河口部に併設してあるXバンドレーダーの画像も分析対象に加え、これらを組み合わせることにより、システムのリダンダンシーを高めるとともにイベント抽出の効率化とシステムの堅牢化を図る。さらに、高潮遡上流れに対する数値計算を実施し、画像解析で得られた流動諸元と比較するとともに、段波状となって遡上する高潮の水理機構を検討する。これらにより、脈動しながら遡上する河口部における高潮伝播のメカニズムの解明を目指す。平成26年度は研究の最終年度であるので、研究をとりまとめるとともに、実用的な環境監視システムを構築し、防災実務上重要となる河口周辺の高潮対策に利用できる強力なツールを最終研究成果とする予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、可視監視カメラ画像の分析に加えてXバンドレーダの分析を実施する予定であったが、高潮遡上の実態がより鮮明に捉えられている可視画像の分析を集中的に進め、高潮時における河口部環境変化の主要因子を抽出することとした。対象を絞ったうえで、集中的に分析することにより、本質的な要素を抽出することができ、段階的な研究の進展が可能となった。そのため、Xバンドレーダーの分析に充当する予定であった課題一部を次年度に繰り越すこととした。 平成25年度に集中的に実施した可視画像カメラの分析により、河口部の環境急変に重要な要素として、段波状の水位上昇が抽出された。最終年度である平成26年度は、Xバンドレーダーの分析において、段波状の水位上昇の発生機構に焦点をあてて、分析を行う予定である。
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