蒸発散の推定値を出来うる限り観測値をベースに作成することを目的として,大気水収支法をGPS可降水量に適用し蒸発散量の推定可能性について検討した.まず,水蒸気の水平移流を移流モデルで表現できるか,その適用可能性について検討した.空間方向約20km間隔,時間間隔3時間のGPS可降水量を,GPS観測及び気象観測に基づいて推定した.様々な空間間隔で移流ベクトルを算出したところ,100km程度の空間間隔であれば適切な移流ベクトルを推定出来ることが示された.移流モデルから推定された蒸発散量は明確な日周変化を有しており,蒸発散量の推定可能性を示すものと考えられる.
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