研究課題/領域番号 |
24656297
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山田 正 中央大学, 理工学部, 教授 (80111665)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 都市流出モデル / CommonMP / 時空間分解能 / ヒートアイランド緩和 / 雨水流出抑制 / 都市水文観測 |
研究概要 |
1)都市流出モデルの構築と適用方法に関する検討を行った.具体的には流出計算の高精度化を図るため,集中型のモデルを分布型モデルに適用可能なモデルに改良を施した.これにより,水文データの空間分布をより詳細に考慮できるようになった. 2)構築した流出モデルは水循環解析の共通プラットフォームであるCommonMP上にて動作可能にするため,簡易的に流出計算を行えるようプログラムを開発した. 3)降雨データ及びパラメータの時空間分解能が流出計算に与える影響を検証した.その結果,時空間分解能の異なる計算を複数ケースを行うことで,入力データ及び,パラメータの分解能が流出計算に与える影響を定量的に評価することが可能となった. 4)雨水貯留対策の一つである屋上貯留をメンテナンスフリーで行える新素材であるセラミックスのヒートアイランド緩和効果,雨水流出抑制効果を実験で検証した.その結果,屋上に芝を敷設した場合とセラミックスを敷設した場合,何も敷設しない場合をそれぞれ比較することで,新素材であるメンテナンスフリーのセラミックスには屋上貯留効果と熱環境緩和効果があることがわかった. 5)地表面温度・気温の違いによる熱環境緩和効果を検証するため,研究フィールドの選定を行った.複数の候補地で模擬観測を行い,次年度の観測フィールドとして最適な地点を選定した.その結果,屋上貯留の実証実験を行なっている1級河川神田川流域内の広範囲において,温度計による点的な地表面温度・気温の計測及び,サーモグラフィーによる面的な観測を行う事で洪水流出抑制効果と熱環境緩和効果の相互関係を見出す事が可能であるという検証結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①流出計算の高精度化を図るために集中型モデルを分布型モデルに適用可能な形に改良した.都市流出モデルの構築と適用方法に関する検討を行った結果,水文データの空間分布をより詳細に考慮できることがわかった.今後も本流出モデルの検証を継続し,普遍的に適用可能な流出解析手法の構築を目指す. ②構築した流出モデルの検証のため,都市域の流出計算を行った.時空間分解能の異なる計算を複数ケース行うことで,入力データ及び,パラメータの分解能が流出計算に与える影響を定量的に評価できることが分かった. ③構築した流出モデルで簡易的に流出計算を行えるプログラムを開発した.これにより水循環解析の共通プラットフォームであるCommonMP上での動作が可能となった.今後は開発した流出解析手法の公開に向けて,モデルの検証及び改良を継続する. ④雨水貯留対策の一つである屋上貯留をメンテナンスフリーで行える新素材であるセラミックスのヒートアイランド緩和効果,雨水流出抑制効果を実験で検証した.その結果,新素材である保水性セラミックスには上述のような利点があることわかった.今後も継続的な観測を行い,そのデータを基に解析を進めていく予定である. ⑤地表面温度・気温の違いによる熱環境緩和効果を検証するため,研究フィールドの選定を行った.H25年度は,選定した観測フィールドで地表面温度・気温の計測及び,サーモグラフィーによる面的な地表面温度の計測を行う.
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今後の研究の推進方策 |
①構築した流出計算モデルの検証と都市域における流出解析 CommonMP上で流出解析を可能とするために開発したプログラムの検証と改良を行い,共通プラットフォームとして機能するように流出解析手法の概要とソースコードの公開を目指す. ②屋上貯留による雨水流出抑制効果の検証 24年度の実験・観測の結果を考慮し,屋上貯留の流出抑制効果を含めたシミュレーションを行い様々な貯留材料及びその他の流出抑制対策毎の評価を行う.これらの検証により,屋上貯留が流域スケールにおいて,どの程度の流出抑制効果があるのか検証を行う. ③屋上貯留による熱環境緩和効果の検証 24年度に引き続き実験・観測を行い,熱環境緩和効果を検証する.特に地表面温度・気温の違いによる熱環境緩和効果を検証するため,研究フィールドの選定を行った.H25年度は,選定した観測フィールドで地表面温度・気温の計測及び,サーモグラフィーによる面的な地表面温度の計測を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は,フィールドにおける観測を中心として,データ収集及びその分析を実施する予定である。このことから,当該年度の研究費は,主として観測フィールドまでの旅費・交通費,及び謝金に使用する予定である.
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