研究課題/領域番号 |
24656299
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
奥村 誠 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00194514)
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研究分担者 |
大窪 和明 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50546744)
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キーワード | 防災計画 / 位置情報 / GPS / ビッグデータ |
研究概要 |
東日本大震災などの巨大災害では,被害が深刻な地域ほど被災の実態や自らのニーズを外部に伝えることができない.本研究では被災地支援の方策の検討のため,被災地ニーズを定量的に分析するための住民の被災状況,各避難所の実際に居住する人数などの基礎情報を,近年収集が可能となったGPS機能付携帯電話の位置情報データを駆使して把握するための手法の提案を目指す.しかし,このGPS機能付携帯電話の位置情報データの使用に関する法的な手続きの問題が提起され,平成25年度もその解決に向けた交渉を余儀なくされたが,個人ベースの位置情報の利用は断念せざるを得ず,250mメッシュへの集計データのみが利用できることになった. 交付申請書に記載した2つの研究計画についての進捗状況は以下のとおりである. (3)被災者の空間分布の変化プロセスの分析に関しては,利用が可能になった仙台市内約12900メッシュの平成23年3月1日から震災を挟む2ヶ月間の1時間ごとの集計データの分析を行った.最初に震災直後のデータ取得数を確認したところ,震災翌日から2日間は携帯基地局の停電等の影響で欠損が著しく,信頼性が保証できないことがわかった.そのため,震災前の3月1日~10日までの平常時の時間別分布と対照させる形で,震災後の3月14日から4月末日までの空間分布の変化を解析した.この研究成果は論文作成の準備を進めているが,公表についてはデータ提供者との調整を進めている段階にある. (4)被災者の移動量と燃料消費・購入の分析については,250mメッシュの解像度では給油待ち行列の抽出に無理があることを確認し,ガソリン購入行動のモデル分析を継続した.また,(3)の分析を通じて被災地のモビリティー低下の程度を確認し,4月上旬にガソリンの不足がほぼ解消したのと整合的に,人口分布における移動制約の影響が解消していることが確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GPS機能付携帯電話の位置情報データの使用に関する法的な手続きの問題の解決に向け,平成25年度もその解決に向けた交渉に時間を要し,研究の遅れが継続した.結果的に個人ベースの位置情報の利用は断念せざるを得ず,250mメッシュへの集計データのみが利用できることになった.研究計画の大きな目的を変えることなく,集計メッシュデータのみで分析できるように分析内容を修正することとした.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画策定時に想定した個人ベースの位置情報の利用はできなくなったが,利用が認められた集計データを用いた分析を通じて,当初の研究目的の多くは達成可能であると考えている.最終年度の26年度は予定通り,(5)集計データに基づく被災地ニーズの定量分析と,(6)研究の総括と位置データ収集・公開方法への提言という研究計画を遂行する.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品購入において少額の残余が発生したが,基金化の趣旨をかんがみ,本年度の残額を無理に0とする必要はないと考えたため. 少額であり,次年度の支給額に加えて有効に活用する.
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