本研究は、防犯・防災・交通安全の三者を統合した夜間照明の計測技術と夜間照明システムを提案することを目指したものである。 第一の目的は、防犯・防災と交通安全の三者から、現在の夜間照明の問題点・課題を明らかにすることであった。各種照明基準などの文献調査や実態分析により、照明基準は照度の測定や評価に用いられる一方で街路照明の整備指標には用いられてはいないこと、住宅団地における多くの生活道路は照明基準を上回らないこと、照明基準を上回る区間でも方向別に見れば視認不可区間が重なるように存在すること等が判明した。また従来の整備方針や照明基準では近年の街路照明の多様化や交通流の変化に対応できず今以上に街路照明のニーズとの乖離が生じ得ることから、測定手法の見直しを含めた照明基準の見直しと街路照明の評価手法の再検討が必要であると考察した。 第二の目的は、夜間の明るさ計測のために現在の照度計・輝度計を代替するデジカメ「明るさ」計測システムの開発を試みることであった。専門家へのヒアリング調査から、現行の照度測定手法が現場裁量に任されているなどの不明瞭な点が多々あることが判明した。一方でデジタルカメラを用いた簡易なデジカメ「明るさ」計測システムの開発を試みたが、カメラ機器に内蔵されているメーカー独自の明るさ計測システムが秘匿となっていることなどにより、利用可能性を予想するにとどまった。 第三の目的は、防犯・防災・交通安全統合型夜間照明システムを考案し、その有効性を評価することであった。これに対しては、生活道路を模した屋外道路にて中間照明による照度分布の均斉と視認性の実験を行った。この結果、中間照明を取り入れた「防犯灯+スポットライト」や「防犯灯+門灯」で照度と視認性が改善され、有効性が確認できた。
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