研究課題/領域番号 |
24656301
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長江 剛志 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379482)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 交通工学 / 持続可能性 / 環境料金 / 排出権取引 |
研究概要 |
平成24年度は,まず,関連研究のサーベイを行なった.次に,持続可能なシステム最適配分問題(SSO)配分モデルとして,Nagurney (2000) を一般化したモデルを構築し,その基本的特性を明らかにした.具体的には,2本の平行リンクで構成されるシンプルなネットワークにおいて,リンク費用関数が非単調である(c.f. CO2排出量が交通量の非単調関数であることは Yin and Lawphongpanich, 2006; Song and Zhang, 2009 らによって指摘されている)場合には,古典的な静的混雑料金によってはSSO配分の実現が必ずしも保証されないが,進化的混雑料金を用いれば,任意の初期状態から適当なダイナミクスによってSSO配分への収束が保証されることを明らかにした.これについては,平成24年6月の土木計画学研究発表会および8月の東北大学-ソウル大合同セミナーにて報告済みである. さらに,平成25年度に行う予定の排出権取引に関する研究の準備として,1) 排出権取引制度に関する研究として,事前購入が可能な時限つき容量利用権(eg. 航空機の座席や通行権)の不確実性下における取引メカニズム設計に関する研究および 2)利用者の市場参入-退出時刻の異質性を考慮した施設利用権取引のメカニズム設計に関する研究を行ない,平成24年10月に開催された合同エージェントワークショップ&シンポジウムにおいて報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り,研究予定がほぼ達成できている.ただし,SSO配分モデルの分析については2リンクネットワークを用いた簡単なものに留まっているため,さらなる一般化が必要である.以上の観点から「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,まず,走行排出権取引制度の構築を行う.具体的には,下記の2つの要素で構成される走行排出権取引制度を提案する:(a) 各リンクの利用者に,当該 リンクの走行に伴って発生する温室効果ガスの排出権を予め購入することを義務づける; (b) 管理者は環境容量に等しいだけの排出権を発行し,市場取引を通じて各利用者に配分する.次に,この提案制度が適切に機能することを保証するため,完全競争市場を実現するためのメカニズムの設計,および購入すべき排出量の更新手続きの構築と収束パターンの分析を行う.最後に,上述の分析を,現実的な一般ネットークへと拡張する.その上で,制度実現に必要とされる技術的課題,集団ダイナミクスの大域的収束性を保証するための条件および数値シミュレーションによって得られる収束パターンの特徴などから,それぞれの制度の長所と短所を整理し,制度の使い分けを含めた政策として提言する.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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