研究課題
高速道路上に広く設置されている車両感知器は時間的には連続に交通状況を把握可能であるが,空間の面では感知器の設置個所の状況把握ができるのみであり,道路上のあらゆる場所で起きうる事故に対応した形で,交通状況を把握するためには,非観測部分を観測データおよびシミュレーション技法等で推測することが必要と考えられる.本研究では定常的に収集される車両感知器などによる交通データを用いて,高速道路上の交通状態の時空間変動を可能な限り記述・再現する方法論を開発し,それを用いて交通事故発生前後の交通状況を把握することを目的とする.具体的には,次の2課題について取り組む.1)広く普及しているループコイル式の車両感知器より得られる車両通過時のパルスデータを用いて,異なる2地点間を通過する車両をマッチングする手法を構築する.2) フィードバック法である拡張カルマン・フィルタと,マクロ交通シミュレーションであるブロック密度法を組み合わせることでフィードバック型交通状態推定手法を構築し,事故発生状況分析への適用性についても確認する.なお1)については,車両マッチングの結果,2地点間の旅行時間の計測が可能となるともに,マッチング精度が相当程度確保されれば,車両マッチングの失敗により,突発事象の発生を検知できる可能性がある.25年度はフィードバック法である拡張カルマン・フィルタとマクロ交通流シミュレーションモデルであるブロック密度法を組み合わせることでフィードバック型交通状態推定手法を構築する.その際,道路勾配が交通状態に及ぼす影響を考慮するため,ブロックごとに勾配を設定し,交通密度・速度の関係式を変化させることによって勾配の影響を考慮する.ケーススタディを通じて,本交通状態推定手法の事故発生状況分析への適用性について検討を行った.その結果,追突事故分析,インシデント検知への本手法適用の有用性は示された.
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
International Journal of Intelligent Transportation Systems
巻: 11 ページ: 65-75
10.1007/s13177-013-0057-9
第33回交通工学研究発表会論文報告集
巻: 33 ページ: 287-294