研究課題/領域番号 |
24656305
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
稲村 肇 東北工業大学, 工学部, 教授 (50168415)
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研究分担者 |
小出 英夫 東北工業大学, 工学部, 教授 (20225353)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / クイーンズランド大洪水 / 復興組織 / 社会・経済被害 / 国際比較研究 / オーストラリア |
研究概要 |
オーストラリア、クイーンズランド州は2010年11月からの長雨と3つの熱帯性サイクロンによる大洪水以降3週間を待たずして十分な技術力と相当程度の予算をもつ復興庁を立ち上げた。そして地方自治体や地域住民への周知を目的としてWEBサイトを立ち上げ、次々と情報を発信している。それらは“The State Plan”,”Local Plan“、 ”Implementation Plan“等、多岐にわたる。これらの情報を読み説き、解析することにより、①クイーンズランド州政府の活動、②連邦政府の関わり方、③市町村といった地方自治体の活動を明らかにした。具体的には:1.2010年11月~2011年2月までのクイーンズランドでの洪水被害・復旧、救援活動を取りまとめた。2.2011年2月に発足したクイーンズランド災害復興庁の組織、権限、予算、活動を調査した。3.州政府、特に災害復興関係7省庁の役割と調整方法を整理した。4.連邦政府、特に災害復旧関係財源、および州との調整関係を調査した。 上記の目的で3月14日~20日の1週間でオーストラリア・クイーンズランド州ブリスベーン市とケアンズ市で現地調査を行なった。(クイーンズランド大学のマテオ・バンビーノ教授、アンソニー・ハロッグ准教授との共同研究となった)現地ではクイーンランド大學の研究者やクイーンズランド州復興庁のリチャード・ウイルソン長官等関係者の説明を聞き、疑問点に関してインタビューを実施した。 わが国に関しては、新聞情報、インターネット情報、2010年3月11日~6月10日までの地震被害、洪水被害・復旧、救援活動を取りまとめた。さらに、被災による家計や事業所の経済被害やその生産消費の減退にともなう、全国への被害の波及効果を地域間産業連関分析で推計した。その際、直接被害の代理指標として東北電力提供による、電力需要の変化を利用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災の経済被害、復興組織、復興交付金、復興計画などに関してはインターネットや新聞メディアの情報を収集し、おおむねデータはそろった。また、国土交通省東北地方整備局や東北電力の調査協力により、関連データ収集が出来た。 クイーンズランド大洪水に関しては上記のように、クイーンズランド大学やクイーンズランド復興庁の全面的な協力が得られたため、調査は順調に進んだ。解析はまだ十分進んでいないが、全体的には「おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
一般に公開された情報は発信者の意図が反映されるため、情報に発信者のバイアスがかかり、必ずしも中立的な情報であるとはいえない。従って、ステークホルダーが多い場合にはなるべく立場の異なる人々からの情報を入手・分析する必要がある。上記の理由から24年予備調査に続き、行政府、大都市、小都市、町村部において、数週間のインタビュー調査を行う。国際比較で最も困難な点は社会的状況の相違に基づく法や制度の違いである。一概に法や制度を比較しても社会背景が異なる場合は比較自体の意味がない場合も少なくない。従ってオーストラリアの州制度を日本で考えられている州制度(例えば東北7県+中央省庁の出先機関:地方整備局、運輸局、農政局、経済産業局)を当てはめても機能するとは限らず、オーストラリアの法令をまねても関連法規が異なる場合は同様の効力を発揮しえない。そこで、この点に関しさらに調査を行い検証してゆきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はデータの収集/整理に人件費が多く必要と想定していたが、資料、データの提供側が全面的に協力をしてくれたため、そうした費用が不要となった。一方でPCやPC関連メディアなどが想定以上に必要となり物品費がかかった。 本年度も同様の傾向になると考えられ、物品関係が多く必要になると考えている。
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