研究課題/領域番号 |
24656306
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 久 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80326636)
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研究分担者 |
石井 聡 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10612674)
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キーワード | 腸管出血性大腸菌O157 / 表面プラズモン共鳴 / バイオセンサ / 迅速性 / 簡便性 |
研究概要 |
本年度は、表面プラズモン共鳴(SPR)センサに使われる、金薄膜蒸着ガラスの表面にリガンド分子(抗体等)を固定化したセンサ基板の最適化のために、基板表面の状態を詳細に解析した。SAM形成、NHSエステル化および抗体固定化の状況を確認するため、サイクリックボルタンメトリー(CV)により11-MUAの密度を、X線光電子分光(XPS)分析法により基板表面の元素を、SPRにより基板への抗体固定化状況を解析した。 CVにより11-MUA形成密度は7.4×10の-10乗mol/cm2と算出された。Campuzanoらが示した金薄膜への11-MUAの飽和吸着密度8.3×10の-10乗mol/cm2と比較すると、作製したセンサ基板には高密度で11-MUAのSAMが形成されていることが示唆された。引き続きNHSエステル化した基板表面では、11-MUAのSAMのみが形成された基板には見られなかった窒素原子のピークが観察された。これはNHSの窒素原子に由来するものと考えられることから、基板表面のSAMのカルボキシ基がNHSエステル化されたことが分かった。濃度0.1、1または10μg/mLの抗体含有PBS溶液をSPRセンサ基板に供給したところ、抗体濃度に比例してSPRシグナルが上昇したため、抗体が高濃度である方がセンサ基板に抗体が効率よく固定化されたと考えられた。この結果から、抗体濃度10μg/mLでセンサ基板を作製し、下記のO157検出およびセンサ再生実験を行った。SPRセンサへO157サンプルを供給した結果、O157濃度10の8乗cells/mL以上で有意なSPRシグナル(共鳴波長の変化)が得られた。センサ基板を4回再生できた。
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