研究課題/領域番号 |
24656309
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
原田 秀樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70134971)
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キーワード | 核酸定量 |
研究概要 |
本課題で開発している技術の改良及び環境試料から抽出したrRNAの定量を行った。プローブとrRNAの交雑物を分子量分画膜により回収するためのろ過条件、交雑条件を検討したところ、ろ過は-10 kPaで行うとより核酸の回収効率が良く、交雑時間は15分、交雑反応溶液中のプローブ/RNA比は50(mol/mol)、NaCl濃度は400 mMが交雑物の回収に最適であることがわかった。この条件下で、Bacteriaを標的とするプローブ(EUB338)により、Escherichia coli(標的)とMethanosarcina mazei(非標的、EUB338と5塩基ミスマッチ)の識別を試みたところ、標的と非標的から得られたシグナル比(S/N比)は5.4であった。そこで、本手法の特異性の向上を試み、反応溶液に尿素を入れ、交雑ストリンジェンシーの制御を試みた。尿素を4 Mにしたところ、S/N比を25.8まで高めることに成功した。また、Methanosaetaceaeを標的とするプローブ(MX825m)により、Methanosaeta concilii(標的)とMs. mazei(非標的、MX825mと2塩基ミスマッチ)の識別を試み、尿素4 Mの実験系において、S/N比を17.9まで高めることができた。EUB338とMX825mを同じ反応溶液内で混合した2種の同時定量を試みた。ビール工場廃水を処理するUASBグラニュールから抽出したRNAに適用したところ、Bacteriaは38.5±4.5%、Methanosaetaceaeは29.4±5.8%であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
配列特異的な核酸を検出・定量を行うための特異性をコントロールしやすくするための実験プロトコルの改良に成功している。また、解析装置として蛍光分光光度計とプレートリーダーの両者でデータを比較し、プレートリーダーによるハイスループットな解析も可能であることを確認できているなど、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本手法による配列特異性の更なる向上(1塩基ミスマッチの識別)及び、核酸/プローブ交雑物と余剰なプローブの分画方法においてもハイスループットに行えるよう、技術全体のハイスループット化ができるような技術の開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度にrRNAを指標とした微生物定量技術を開発し、25年度に高感度ハイスループット技術を開発し、国際学会にて発表する予定であったが、ハイスループット化のためには、分子量の分画方法を変更する必要が生じたため、計画を変更(補助事業期間を延長)し、膜ではなくビーズによる分画に変更してハイスループット化を行うこととしたため、次年度使用額が生じた。 上記の理由から、ビーズによる分画方法を用いたハイスループット化に関わる物品費用および国際学会発表・学術論文作成のための費用として使用する。
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