本研究では、環境バイオテクノロジーのキープレーヤーである微生物の動態を解明するためのブレークスルー技術として、生体高分子である核酸を定量する技術を開発する。本研究課題で用いていた分子量分画膜が販売中止となり、新たに他の分子量分画膜の検討を行う必要が生じた。そこで,再度,使用する膜について新しく出た製品の検討を行った。その結果、これまで使っていた膜とほぼ同等の性能が得られることが分かったため、代替とすることとした。これまでに得られた尿素を変成剤として交雑ストリンジェンシーを制御する方法を用いて、定量性能の評価を行った。まず、Eeschericha coliとMethanosarcina mazeiの人工合成RNAを様々な割合で混合した系を用意し、それぞれについて定量したところ、既知の割合と測定結果がほぼ一致した。そこで、マルチプレックス定量系を確立するために、人工合成したEeschericha coliのRNA、Methanosarcina mazeiのRNA:Methanosaeta conciliiのRNAをそれぞれ1:1:1で混合した系を用意し、プローブとして、異なる蛍光色素を標識したEUB338、ARC915s、MX825mを用いて定量を試みた。その結果、EUB338、ARC915s、MX825mはそれぞれ33.4±2.4%、61.8±7.9%、30.0±3.0%となり、理論値上の定量値(それぞれ33.3、66.7、33.3%)に近似した値を示した。この結果、本法により、トリプレックスまでの定量が可能であることが明らかになった。
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