1) 日間変動や藻類と検水の注入量比等の検討試験を行った結果、結果に重大な影響を及ぼすほどに変動はなく、光合成阻害試験が高い安定性を有する生態毒性試験であることが明らかになった。 2) 4種類の藻類から、応答の安定性や光合成阻害への感受性の観点からさらに藻類を絞り2種類とすることができた。また、淡水藻類だけでなく海産藻類を用いた光合成阻害試験が可能となったため、塩分濃度や浸透圧などの面で扱える試料の幅が広がった。 3) 通常、藻類生長阻害試験を下水二次処理水に対して行うと、下水二次処理水中の栄養塩の影響により、かえって藻類の生長が促進されるという弊害が生じる。しかし、下水二次処理水に対して光合成阻害試験を実施した結果、原水と同じ濃度の暴露濃度において光合成阻害が観測された。本研究で開発した光合成阻害試験が栄養塩などによる生長促進作用を受けずに生態毒性評価を行えるという特徴を有していることが明らかになった。 4) 毒性の有無ですら不明である環境水試料として、琵琶湖水やスワニー川NOM (Natural Organic Matter) に対して光合成阻害試験を行った。少ないサンプル量で、かつ短期間で毒性が評価できる光合成阻害試験の利点により、限られたサンプルに対して速やかに生態毒性を評価することができた。また、高濃度のNOMは生態毒性を有する可能性があることが示唆された。
|