研究課題/領域番号 |
24656317
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
名和 豊春 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30292056)
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研究分担者 |
胡桃沢 清文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40374574)
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キーワード | C3A / 流動性 / 高速・超高感度XRD / 29Si-NMR / C3S / ナフタレンスルホン酸縁塩 / メタクリル酸塩 / 硫酸塩 |
研究概要 |
平成25年度は、産業廃棄物の利用により増大するセメント中のC3Aの水和挙動及びそれが流動性に及ぼす影響について検討した。得られた成果は以下に列挙される。 (1)高速・超高感度XRD法とNMR法を融合したセメントのごく初期水和の定量化 廃棄物中の微量成分として、硫酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びメタクリル酸塩を取り上げ、これらがC3Aの水和反応に及ぼす影響について検討を行った。その結果、硫酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びメタクリル酸塩は、いずれもC3Aの初期水和反応を遅延させるが、硫酸塩の場合、添加量が増大すると、C3Sの反応が停滞した後にC3Aの水和が活性化し非晶質C-A-Hが生成することが確認された。 (2)水和生成物の表面科学的性状に基づくC3Aが流動性に及ぼす影響の解明 硫酸塩、ナフタレンスルホン酸塩及びメタクリル酸塩が共存する系でのC3A水和生成物量と電気化学的性状を測定し、回転粘度系を用いて測定したセメントペーストの流動性との関係について検討を行った。その結果、C3A水和生成物量とセメントペーストの流動性の間に相関性が認められ、特にナフタレンスルホン酸塩では添加量毎に両者の間に高い相関性が得られ、流動性の面からの廃棄物の使用の最大許容値を推定できることが判明した。一方、メタクリル酸塩を用いた場合には、化学構造毎に流動性の改善効果が異なり、1つの関係式で表現できなかった。しかし、セメント粒子間の相互作用力に基づいたペーストの流動性予測の理論モデルを構築することにより、メタクリル酸塩も含んだ流動性の観点から廃棄物の使用の最大許容値を推定できる材料設計手法の枠組みを構築することができた。今後は本モデルに基づき各種の有機物が混入した際の流動性予測の妥当性について検証する予定である。
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