研究課題/領域番号 |
24656324
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
井上 正文 大分大学, 工学部, 教授 (60128337)
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研究分担者 |
田中 圭 大分大学, 工学部, 助教 (00325698)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 圧密加工 / 変形復元 / 木質構造 / 接合部 / 乾湿繰り返し / 応力緩和 |
研究概要 |
本研究では、圧密加工されることで強化された木・竹材料を木質構造用の接合部材に利用することを考え、構造利用に求められる基礎的な強度物性の把握を行う。 特に本年度は、圧密木質材料の試作・製造:様々な条件(樹種、圧密率など)の圧密材料を試作を実施するとともに、圧密材の変形復元特性の把握に関する基礎的なデータの収集を行った。このなかで、圧密木材をさまざまな周辺環境(温度・湿度)に置き、その変形復元の様子を観察し、基礎的なデータを得た。その結果、木質構造接合部に圧縮木材を使用する際、乾湿が繰り返されることで応力の変化の幅が大きくなるが、乾湿を繰り返す毎に応力及び寸法の変化が増加する、圧密率70%で自然復元による圧縮木材が、最も適していると考えられる。 また、伝統構法の一つである鼻栓接合に着目し、低密度のスギを圧密加工して鼻栓に用いることで圧密処理による強度特性の向上により接合強度の向上、また復元処理を行うことにより鼻栓と母材間の隙間がなくなり初期剛性の向上が期待される。そこで鼻栓に用いる樹種、圧密率及び強制復元の時間の違いをパラメータに接合部の引張実験を行った。その結果、圧密木材は高い初期剛性及び耐力を有することが判明した。また、強制復元の時間については、自然復元を行った試験体が最も高い強度性能を示しており、圧密率70%の鼻栓をスチーム等の強制復元を行わずに挿入し、自然復元させる方法が最も有効であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧密加工の条件等の試験は順調に実施でき、変形復元の特性試験に移ることができた。変形特性の試験では試験装置の制約から、1種類のパラメータづつしか試験ができず、予想以上に時間が必要となり、実施できたパラメータが予定より少なくなった。これについては今後装置の増強を含めて検討を行う予定である。 実際に木質構造接合部に圧密材を使用する試験では、予想どおりのよい結果を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に問題となった圧縮木材の変形特性の観察について、計測系をもう一系統増設し、同時に2パラメータの実験が可能な体制を整備する予定である。 また、各パラメータでの強度特性を把握するための専用治具の試作と実験を実施するよう体である。 圧密木材の木質構造接合部への実用化に向け、新しい接合法、利用方法も提案する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の実験装置の改良に200千円、試験体用の木材購入に200千円、建築学会、木材学会等への成果発表、木材加工に関する資料収集に300千円、学生への謝金に200千円を使用する予定である。
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