研究課題/領域番号 |
24656327
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
今川 憲英 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (10328510)
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研究分担者 |
登坂 宣好 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00059776)
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キーワード | エコストラクチャー / 2酸化炭素排出削減 / 構造素材 |
研究概要 |
酸化硅砂にCO2を注入し硬化させることによる“自立する砂”を新しい構造材料として開発するための基礎的研究を前年度に引き続き推進させてきた。構造素材の開発は、当初のType1から始めて現在Type3まで進展させてきた。平成25年度は、Type1,2に引き続き、これまでの硅砂と水ガラスの基材に加えてカルシウム系試薬(水酸化カルシウム、カルシウムシリケート、炭酸カルシウム)を混合した素材の強度および耐水性能を把握するための実験を重ねてきた。この段階において次に示すような成果が得られた。 ① 素材開発 Type1,2に引き続き、Type3の素材性能把握のための強度実験および耐水性試験を行い、強度に関して、カルシウム系試薬の最適配合率の算出を検討することができた。 現在さらに、強度改善に対する措置としてウレタン樹脂含浸を試行している。 ② 構造ユニットの接合開発 CO2エコストラクチャー創生において避けられない、新開発素材を用いた構造ユニット同士の接合開発は、既にイーグルエイトという接着材を用いて接合部の実験を重ねてきた。平成25年度では、イーグルエイトに代わる新しい接着剤としてアドバンテージに注目して、接合部の実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Type3を対象とした構造素材開発成果は、全く新しい発想のもとで得られたものである。これまでの素材開発では、主として、素材に混入する試薬は耐水性を向上させるためのものであったが、新しくカルシウム系試薬を混合させることによって、耐水性のみならず素材の諸性質を改善することである。研究当初では、このようなカルシウム系試薬の混合を予想することがなかったので、新しい展開であると考える。さらに、素材強度を向上させることを意図して、ウレタン樹脂含浸も合わせて試みている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるから、これまでの素材の開発におけるType1,2,3において得られた諸成果をまとめ、構造素材としての要求に対応する各性能を保証する混合試薬の最適配合率の確定する。さらに、その結果として得られた素材による構造ユニットの形状と接着法とを提案する。その適用性をプロトタイプの縮小模型に対し強度実験および振動実験によって検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を推進させるにあたって、Type3の素材開発に時間を割き、材料化学に関して貴重なアドバイスをいただいている京都大学大学院工学系研究科木村研究室への出張回数が当初予定していたほど多くなかったため出張旅費が予算計上額より少なくなった。 今年度は、最終年度であるから、特にこれまでの素材開発Type1,2,3に関して得られた成果に対する材料化学的アドバイスをいただくために京都大学大学院木村研究室への出張回数が多くなることが予想される。さらに成果のまとめおよび追加強度実験等における補助者への謝金を多く計上する。
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