研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は、開発途上国におけるプレハブ型仮設・復興住宅の持続的利用における問題点とその可能性を、現地調査に基づき明らかにすることを目的とする。これらの住宅が開発途上国において利用されるのは、主に(1)現地での災害時に直接供給され、継続的に利用される場合、または(2)先進諸国での災害時に建設された仮設住宅が移築・再利用される場合の2つに分類される。しかし、(1)(2)ともに、現地の在来構法との違いから、維持管理・増改築等の点で大きな問題を抱えており、スラム化する事例も多い。以上の背景に基づき、本研究では(1)(2)の事例を、インドネシア・トルコからそれぞれ選定し、プレハブ型仮設・復興住宅の利用実態を検証し、その持続的利用における問題点と可能性を明らかにすることを目的としている。さらに東日本大震災で供給された仮設住宅に対して,今後行われる解体・移設・再利用の具体的な手法を検討するための基礎的な資料を提供することも目的としている.本年度の研究実績は以下のとおりである.1.文献調査:国内外の仮設住宅に関する基礎的な資料を収集した.2.現地調査(東北):岩手県・宮城県・福島県に対して、東日本大震災で供給された仮設住宅の図面・設計図書等の技術的情報及び再利用計画について聞取り調査を行い得られた成果を日本建築学会計画系論文集および世界木質構造会議で発表した.3.現地調査・予備調査(神戸・トルコ):阪神淡路大震災後の仮設住宅の諸外国への移築・転用に関して,文献調査および聞き取り調査を実施した.特に,1999年トルコ・マルマラ地震後の仮設住宅として転用された事例について,更に関係者への聞き取りを実施し,次年度計画しているトルコでの現地調査のための基礎的な資料を得た.
3: やや遅れている
本年度は,東日本大震災の仮設住宅を対象とした調査を中心的に実施した.当初予定していたインドネシアの調査は,先方との調整が難航したため次年度以降実施することとした.更に,阪神淡路大震災の仮設住宅の調査を実施し,トルコ・マルマラ地震の震災復興のために転用された事例の情報が得られたため,来年度現地調査を実施することとした.
来年度は,引き続き東日本ぢ震災の仮設住宅の調査を実施するとともに,トルコ・マルマラ地震の際に日本から提供した仮設住宅がその後現地でのどのように利活用されているかについて現地調査を予定している.
消耗品:海外で調査を行うに当り、地理的位置の正確な把握のためにGPSトラッカー2台および国内旅費:兵庫県と東北3県(岩手・宮城・福島)の現地調査を予定している。兵庫県調査(2名×3回×30千円=180千円)、東北3県調査(2名×70千円=140千円)。学会発表(2名×50千円=100千円)外国旅費:トルコ調査(3名×300千円=900千円),国際会議発表(300千円×1名=200千円)人件費・謝金:トルコで現地調査を行うに当たり、現地の大学院生に現地通訳兼調査補助員として協力してもらう(30千円×2名=60千円)。その他:研究成果として投稿論文2本、国際会議発表1回を予定.投稿論文2本の英文校閲に50千円×2本=100千円、国際会議の参加登録料として50千円.
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
日本建築学会計画系論文集
巻: 第78巻,第684号 ページ: pp.309-316
Journal of Asian Architecture and Building Engineering, Architectural Institute of Japan
巻: vol12, No.1 ページ: pp.33-40
2011年度日本建築学会関東支部研究報告集(審査付き研究報告)
巻: 1巻 ページ: pp.465-468
WCTE12 Final Paper Journal
巻: 1巻 ページ: pp.71-79