歴史的風致を形成する具体的な景観意匠と地域活動の関連性が明確な地区として、本年度は、前年度に引き続き、滋賀県大津市・同蒲生郡日野町・大和郡山市番条町をとりあげた。それぞの地区において、①資料調査、②、祭礼時における空間利用と演出の調査、③地域住民に対するインタビュー調査をさらに進め、これまでの調査データとの比較・検討を行った。その結果、大津市においては大津祭における2階の演出と建築意匠、番条町では集落内で行われる「四国八十八カ所巡り」と囲い造りと門構え、日野町では日野祭における祭礼演出と桟敷窓を設けた屋敷構えの関係性が注目された。 本年度は、伝統的な屋敷構えの他に、新築物件においても特徴的な空間利用と演出が見られた日野町にとくに重点を置いて調査し、本町通に面する全建物の屋敷構えを図面化し、祭礼時における通りへの演出が、個々の建物の意匠とどのような関係性があるのか、検討した。
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