研究課題/領域番号 |
24656353
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
瀬戸 眞弓 日本工業大学, 工学部, 教授 (20550891)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 高齢者 / 歩行 / 脳活動 / 散歩道 |
研究概要 |
本研究では、日常生活に支障ない健常な60歳以上の男女を対象に、散歩道を歩行している時の脳の活性化を検討することを目的としている。検討方法として、比較的元気な60歳以上の男女30人に、視界を同じにした状況で、数種類の路面を歩くことによって、主にβ波の発現状況から脳がどのように活性化するかを検討することを目的としている。平成24年度は、その活性時における脳活動の評価方法の検討を行った。評価方法の検討における実験として、簡易型脳波計を使用し、脳に障害のない健常な成人男女で、硬さが異なる歩行面を素足で歩行する時における、α波とβ波の発生状況を調べた。 具体的には、30~39歳までの男女10人において、実験課題として、①開眼の状態で立位、②開眼の状態で通路床(塩ビタイル、硬度:0.70、MitutoyoハードマチックHH-330使用)上を歩行、③開眼の状態で発泡スチロール板(厚さ100mm、硬度:0.43)上を歩行、④開眼状態で薄手スポンジマット(厚さ55mm、硬度:0.1)を歩行、⑤開眼の状態で厚手スポンジマット(厚さ115mm、硬度<0.1)を歩行の各課題を5分間ごとにランダムに継続して行っている。対象者には、外部からの騒音を遮断するために、イヤホーンを装着してもらい、予め録音された「波の音」を聴きながら実験に参加してもらった。また、特別な事に思考を集中させないよう、どの課題においても、一定のルールに則って一桁の足し算をし続けてもらった。また歩行速度は毎時3㎞前後とした。 以上の実験より得られたデータを解析し、検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験材料に適した素材を調査するために、予想以上の時間を要した。また、最適な実験環境を整えるために、学生等の授業時間、作品制作時間や研究活動時間を除いて、騒音等を避けるために、時間的、場所的制約が多く、実験時間の確保が難しかった。また、脳波測定において、設定した実験条件(30歳代の右利きの男女)を満たす被験者の確保に困難を要した。このような当初に予想できなかった事態が発生し、歩道の形状、周辺における設置物(ベンチ、花壇、立て看板等)の有無による、歩行時の脳活動の測定が行うことができないでいる。従って、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
4種類の硬さ(塩ビタイル、発泡スチロール板、薄手スポンジマット、厚手スポンジマット)の歩行面における、脳活動に及ぼす影響の有無と、その度合いを調べた実験結果から、さらに、3種類の硬さ(アスファルト、アスファルトよりやや軟らかい、アスファルトよりとても軟らかい)の歩道を造り、日常生活に支障の無い程度の身体活動状況にあり、脳に損傷が認められない60歳以上の男女における実験を行う。また、同一種類の履物を履いた場合についても同様の実験を行う。更に、歩道の形状(直線状、不規則な緩い曲線状)、周辺における設置物(ベンチ、花壇、立て看板等)の有無が、脳活動に及ぼす影響についても検討する予定である。これらから得られた成果は、建築系、福祉系、教育系の学会誌に投稿の予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は、歩道を施工するためのアスファルト材料等の材料費や、歩道周辺に設置する基材の購入費、およびそれらに関わる施工費が、研究が遅れたために使用されなかった。25年度は、上記にあるような実験材料の吟味に関わる調査費と材料費、実験環境の造成のための施工費、脳波測定等の実験に使用する機器の、電極装着部品等の消耗部品の購入費、被験者に支払う謝金、研究の成果の発表のための学会の参加費、旅費、論文掲載費などを計画している。
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