本研究では店舗選択行動における意思決定問題を題材として遺伝的アルゴリズムによるパラメータ予測の有効性を検証した。ここでのパラメータとは店舗選択主体である消費者の意思決定要因に対する重み付けを指す。具体的にはモデル式のパラメータを遺伝的アルゴリズムを用いて推計し、これを用いたシミュレーションの結果データを実データと比較することでその有効性を計測した。 最終年度であるH25年度は消費者属性別の選好パラメータが現実消費者の店舗選好をどれだけ再現しているかを検証した。その基データ(現実消費者の店舗選好)を収集するため徳島都市圏におけるアンケート調査を実施した。当該調査は被験者属性、店舗選好、地域愛着等に関する設問群から構成された調査票を3000世帯に対して郵送配布することにより実施した。その結果、約900件の有効回答を収集できた。次にシミュレーション結果データをアンケートデータと比較し、店舗選好の差異を比較した。その結果、差異が大きかった。このため期待した再現性を見いだすことはできなかったといえる。 差異を生み出している要因を検討するために重要度が高いと考えられる店舗選好要因を各々詳細に分析していくこととした。本年度は(1)駐車場の有無、(2)居住地-店舗間距離、の2要因の重要性について分析・検証を実施した。まず「駐車場の有無が店舗売上に及ぼす影響」に関する分析の結果、店舗併設駐車場は売上高に対して影響を及ぼさないことが判明した。その理由として我が国の地方圏における店舗の多くは充分な駐車容量を既に満たしていることを定量的に明らかにできた。次に「居住地-店舗間距離が店舗選択に与える影響度」に関する分析の結果、消費者属性及び購買品目が店舗選択の意思決定に関して有意に影響力を有することを定量的に明らかにできた。
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