1920年代から60年代にかけてコンクリートや鉄、ガラスなどを用いて建設された、いわゆるモダニズム建築の保存・再生の際に問題となるオーセンティシティの概念に着目し、そのあり方について、オランダなど欧米における事例を調査し考察・分析した。 その結果、モダニズム建築の保存・再生は、従来重視されていた材料のオーセンティシティを守るのが難しく、新たに設計者の意図や透明性といったモダニズム建築特有のオーセンティシティが重視されている傾向にあること、従来ヨーロッパで忌避されてきた復元(再建)もしばしば行われていることなど、モダニズム建築の保存・再生に特有の問題が明らかになった。
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