研究課題/領域番号 |
24656364
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早稲田 嘉夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 名誉教授 (00006058)
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研究分担者 |
柴田 浩幸 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50250824)
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金属物性 / 固体電解質 / ナノ物性 |
研究概要 |
Li2CO3、GeO2およびNH4H2(PO4)3の混合粉末を融解した後、急冷凝固して、Li-Ge-P-O系の固体ガラス試料を作製した。また、それに熱処理を施して、NASICON(Natrium superionic conductor)型LiGe2(PO4)3の多結晶試料を作製した。それらの交流インピーダンス測定を行い、同じ温度で比較すると多結晶試料は固体ガラス試料よりも高い伝導率を示すことを確認した。また、伝導率の温度依存性を評価し、多結晶試料の活性化エネルギーは固体ガラス試料よりも小さいことを示した。 Li-Ge-P-O系の固体ガラス試料およびLiGe2(PO4)3の多結晶試料の粉末X線回折測定を行った。固体ガラス試料の回折パターンから得た動径分布関数において、結晶試料におけるGeの第一近接および第二近接原子間距離とほぼ同程度の距離に相関ピークが観測された。つまり、固体ガラス試料および多結晶試料の伝導率測定の結果は、Ge、PおよびOで構成された骨格構造の乱れがリチウムイオンの伝導率低下を引き起こすと考えられるが、骨格構造は第二近接程度の中距離では、結晶状態と類似していることを示唆する結果を得た。また、結晶状態においてGeはOが6配位した八面体構造を有するが、Ge K吸収端のX線吸収分光測定を行った結果、ガラス状態ではGeの局所構造が変化することが示された。固体ガラス試料において、Geの局所構造にも乱れが生じることを示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、Li-Ge-P-O系の固体ガラス試料およびNASICON型LiGe2(PO4)3の多結晶試料を作製し、その動径分布関数およびX線吸収スペクトルを評価することが出来た。また、放射光を利用したX 線異常散乱測定に向けて、フォトンファクトリー(つくば)に利用申請を行った結果、採択された。今後の展開が期待できる成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
Li-Ge-P-O系の固体ガラス試料およびLiGe2(PO4)3の多結晶試料の伝導率測定の結果より、Ge、PおよびOで構成された骨格構造の乱れがリチウムイオンの伝導率低下の原因と考えられる。Li-Ge-P-O系の固体ガラス試料において放射光を利用してX 線異常散乱測定を行い、Ge周囲に着目して骨格構造を調査する。Ge周囲の局所構造および乱れを含む中距離構造の観点から、固体ガラス試料と多結晶試料の相違点を調べる。 また、NASICON型LiGe2(PO4)3においてGeの一部をAlで部分置換すると伝導率が顕著に上昇することが報告されている。Alを部分置換した系においても、伝導率と構造の相関の調査に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進した事に伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額と合わせて、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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