研究課題/領域番号 |
24656364
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早稲田 嘉夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 名誉教授 (00006058)
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研究分担者 |
柴田 浩幸 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50250824)
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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キーワード | 金属物性 / 固体電解質 / ナノ物性 |
研究概要 |
Li2CO3、GeO2、NH4H2(PO4)3およびAl2O3の混合粉末を白金坩堝で融解した後、それを急冷凝固して異なるAl濃度のLi-Al-Ge-P-O系の固体ガラス試料を作製した。また、それに熱処理を施して、NASICON(Natrium superionic conductor)型Li1+xAlxGe2-x (PO4)3の多結晶試料を作製した。それらの交流インピーダンス測定を行った結果、ガラス試料および結晶試料においてAl濃度の増加に伴うイオン伝導率の上昇が観測された。また、同じAl濃度で比較すると、結晶試料はガラス試料よりも高いイオン伝導率を示した。 異なるAl濃度のLi-Ge-Al-P-O系の固体ガラス試料およびLi1+xAlxGe2-x(PO4)3の多結晶試料において、Ge K吸収端のX線吸収分光測定を行った。ガラス試料は、高エネルギー側に肩を有したXANESスペクトルを示した。このようなスペクトルは、Al濃度が増加しても殆ど変化しなかった。また、EXAFSスペクトルのフーリエ変換により得た動径構造関数において、Ge-O相関のピーク位置は、Al濃度が増加しても殆ど変化しなかった。つまり、Al濃度が変化してもガラス試料においてGeの局所構造は殆ど変化しないことが示された。一方、同じAl濃度で比較すると、ガラス試料は結晶試料よりもブロードなXANESスペクトルを示した。さらに、動径構造関数において、ガラス試料におけるGe-O相関距離は結晶試料と比較して短かった。これらの結果より、ガラスから結晶への変態に伴いGeの局所構造は変化することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
異なるAl濃度のLi-Al-Ge-P-O系の固体ガラス試料およびNASICON型Li1+xAlxGe2-x(PO4)3の多結晶試料を作製し、そのX線吸収分光測定および放射光を利用したX 線異常散乱測定を行うことが出来た。今後の展開が期待できる成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、異なるAl濃度のLi-Al-Ge-P-O系の固体ガラス試料の定量的なX線回折測定やX線異常散乱測定の結果にRMC(Reverse Monte Carlo)シミュレーション法を適用して原子配列を推定する。得られた結果を系統的に整理し、イオン伝導特性の評価結果と合わせて総合的に検討することにより、構造の観点からイオン伝導率を向上させるための指針を見出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進した事に伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせて、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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