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2013 年度 実施状況報告書

多元系リチウムイオン伝導体酸化物スケルトンの中距離構造

研究課題

研究課題/領域番号 24656364
研究機関東北大学

研究代表者

早稲田 嘉夫  東北大学, 多元物質科学研究所, 名誉教授 (00006058)

研究分担者 柴田 浩幸  東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50250824)
篠田 弘造  東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
藤枝 俊  東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
キーワード金属物性 / 固体電解質 / ナノ物性
研究概要

Li2CO3、GeO2、NH4H2(PO4)3およびAl2O3の混合粉末を白金坩堝で融解した後、それを急冷凝固して異なるAl濃度のLi-Al-Ge-P-O系の固体ガラス試料を作製した。また、それに熱処理を施して、NASICON(Natrium superionic conductor)型Li1+xAlxGe2-x (PO4)3の多結晶試料を作製した。それらの交流インピーダンス測定を行った結果、ガラス試料および結晶試料においてAl濃度の増加に伴うイオン伝導率の上昇が観測された。また、同じAl濃度で比較すると、結晶試料はガラス試料よりも高いイオン伝導率を示した。
異なるAl濃度のLi-Ge-Al-P-O系の固体ガラス試料およびLi1+xAlxGe2-x(PO4)3の多結晶試料において、Ge K吸収端のX線吸収分光測定を行った。ガラス試料は、高エネルギー側に肩を有したXANESスペクトルを示した。このようなスペクトルは、Al濃度が増加しても殆ど変化しなかった。また、EXAFSスペクトルのフーリエ変換により得た動径構造関数において、Ge-O相関のピーク位置は、Al濃度が増加しても殆ど変化しなかった。つまり、Al濃度が変化してもガラス試料においてGeの局所構造は殆ど変化しないことが示された。一方、同じAl濃度で比較すると、ガラス試料は結晶試料よりもブロードなXANESスペクトルを示した。さらに、動径構造関数において、ガラス試料におけるGe-O相関距離は結晶試料と比較して短かった。これらの結果より、ガラスから結晶への変態に伴いGeの局所構造は変化することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

異なるAl濃度のLi-Al-Ge-P-O系の固体ガラス試料およびNASICON型Li1+xAlxGe2-x(PO4)3の多結晶試料を作製し、そのX線吸収分光測定および放射光を利用したX 線異常散乱測定を行うことが出来た。今後の展開が期待できる成果が得られた。

今後の研究の推進方策

今後は、異なるAl濃度のLi-Al-Ge-P-O系の固体ガラス試料の定量的なX線回折測定やX線異常散乱測定の結果にRMC(Reverse Monte Carlo)シミュレーション法を適用して原子配列を推定する。得られた結果を系統的に整理し、イオン伝導特性の評価結果と合わせて総合的に検討することにより、構造の観点からイオン伝導率を向上させるための指針を見出す。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進した事に伴い発生した未使用額である。
平成26年度請求額と合わせて、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Improvement of electrochemical properties of LiFePO4 fine particles synthesized in ethylene glycol solution due to heat treatment2014

    • 著者名/発表者名
      S. Fujieda, K. Shinoda and S. Suzuki
    • 雑誌名

      Solid State Ionics

      巻: 262 ページ: 613-616

    • DOI

      10.1016/j.ssi.2013.11.008

    • 査読あり
  • [学会発表] Liイオン伝導性固体電解質の構造解析2013

    • 著者名/発表者名
      小鹿裕希, 藤枝 俊, 篠田弘造, 鈴木 茂, 早稲田嘉夫
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      20130917-20130919
  • [学会発表] ガラスおよび結晶状態におけるLiGe2(PO4)3系化合物の構造解析2013

    • 著者名/発表者名
      小鹿祐希, 藤枝俊, 篠田弘造, 鈴木茂, 柴田浩幸, 早稲田嘉夫, 有馬寛, 川又透, 杉山和正
    • 学会等名
      日本金属学会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      20130917-20130919
  • [学会発表] Synthesis of Olivine-type LiFePO4 Fine Particles in Polyol Solution and Characterization by X-ray Absorption Spectroscopy2013

    • 著者名/発表者名
      Shun Fujieda, Kozo Shinoda, Shigeru Suzuki, Yoshio Waseda
    • 学会等名
      International Conference State Ionics
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130602-20130607
  • [学会発表] Liイオン伝導性固体電解質のガラスおよび結晶状態における構造とイオン伝導率の関係

    • 著者名/発表者名
      小鹿裕希, 藤枝 俊, 篠田弘造, 鈴木 茂, 早稲田嘉夫
    • 学会等名
      資源・素材学会 東北支部大会
    • 発表場所
      仙台
  • [備考] 多元物質科学研究所 業績データベース

    • URL

      http://db.tagen.tohoku.ac.jp/php/db/

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公開日: 2015-05-28  

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