研究課題
準結晶に適用できる後方電子散乱回折(EBSD)の解析ソフトを開発し、準結晶におけるマクロ組織学を可能にすることを目的として本研究を行った。準結晶は結晶にない対称性を示すために、走査電子顕微鏡に装備されている市販のEBSDが準結晶の菊池パターンを読み取って、準結晶粒と観測されている試料面との方位関係を瞬時に解析することができない。そのため、準結晶に特化した解析ソフトを作成し、準結晶を含んだ試料を検証した結果を以下にまとめる。さらに作成したソフトウェアを用いて、Mg-Cd-Ybの広い組成範囲に渡って、準結晶相とMg相の方位関係を明らかにした。また、一方向凝固で作製された試料についても準結晶相/Mgの詳細な界面構造と粒界構造を検討した。準結晶 / Mg共晶合金の一方向凝固により、準結晶マトリクス中にMgロッドを分散した規則的な共晶組織が広範囲に分布している。準結晶 / Mg共晶合金の一方向凝固による成長方位は、〈 2f 〉_QC // 〈 1 0 1 Mg; 0 〉Mgであり、組織の形態によらず方位が揃っていた。準結晶 / Mg共晶合金の一方向凝固試料における両相の方位関係を検討した結果、〈 2f 〉_QC // 〈 0 0 0 1 〉Mg や〈 5f 〉_QC // 〈 1 0 1 Mg; 0 〉Mg をはじめ、複数の主要な方位が平行に近い関係にあった。面間隔の近い面に垂直な方位が平行になっていることが明らかになり、それが安定な界面を形成できる原因であると考察される。Mg-rich合金の炉冷試料については、準結晶とMgの間に特徴的な方位関係は見いだせなかった。本研究ではおのおの準結晶の方位を菊池ラインから直接に検出できるが、全体の組織の自動測定には至らなかった。これを可能するためには、製造メーカとの共同開発が必要になる。
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