研究課題/領域番号 |
24656367
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 好一 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20283632)
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研究分担者 |
寺井 智之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20346183)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ホログラフィー / メスバウアー効果 / 共鳴散乱 |
研究概要 |
メスバウアー効果を利用した核共鳴散乱を利用した原子分解能γ線ホログラフィーは、各元素の化学状態選択的な三次元原子イメージング技術である。ここでは、エネルギーを変えられる高強度放射光を用い,広く元素を選択できるγ線ホログラフィー技術の開発を行う.実験には、57Feを用いたヘマタイト(Fe2O3)単結晶を標準試料として用いた。SPring-8のBL09において、14.4keVの単色X線を用いてγ線ホログラムの測定を行った。測定を行う際に、試料からのFeKα蛍光X線を測定するが、これを鉄蛍光用のトロイダル分光結晶を用い、高効率に分光と集光を行った。また、集光した蛍光X線を高速X線検出器であるアバランシェフォトダイオードで検出した。検出される蛍光X線の殆どは電子散乱によるプロンプト発光であるが、0.1%程の確率で、メスバウアー効果による57Feからの共鳴散乱に起因した遅延蛍光X線を検出することができた。プロンプトと遅延蛍光X線の信号は、処理過程で切り分けられ、それぞれの蛍光X線の強度の入射角依存性をプロットした。この結果、プロンプトの方は、通常の蛍光X線ホログラムと同等のものが観測でき、原子像の再生も行えた。一方、遅延信号によるγ線ホログラムの方は、全く異なるパターンが観測された。このγ線ホログラムの振幅は数10%程度と大きく、また、結晶の対称性とは異なる2回対称パターンが現れていた。この2回対称パターンの上にγ線ホログラムが被っていると思われるが、現在、それをデータ処理的に取り除くのは困難である。この2対称性が現れる原因は現在不明であるが、核がもつγ線吸収の異方性が大きく関わっていると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初めて放射光を用いたγ線ホログラフィーの装置を組み、従来の蛍光X線ホログラムとも異なる興味深いパターンを測定することに成功した。一方で、そのパターンの生じる原因について明瞭な回答を得ていない。
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今後の研究の推進方策 |
遅延蛍光X線の強度が、現状の分光器の検出システムでは、10カウント/秒程度であり、極めて強度が弱い。従って、分光結晶を介ぜず、直接、アバランシェフォトダイオードに蛍光X線を入射させるシステムを構築し、現状より10倍以上の検出公立を目指す。その上で、γ線ホログラムの微細構造の評価を行う。また、24年度に測定したγ線ホログラムパターンには、結晶の対称性を反映しない非常に振幅の大きなパターンが観測されている。これには、核共鳴散乱が効いているとは思えず、核自身の吸収依存性のようなものが効いていると考えられる。時間はかかると思うが、その原因を究明していく必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していた多素子のアバランシェフォトダイオード及びSPring-8のビームタイム使用量を購入するために計上していたが、多素子APDの設計に時間がかかったことや、想定よりも予算が必要であったため、平成25年度請求額として使用する予定である。
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