塑性変形・急冷・結晶成長・高エネルギー粒子照射等によって、原子空孔が結晶性材料中に過飽和に導入されると、しばしば空孔同士が会合し、ボイドなどの空孔の集合体を形成し、材料の機械的性質を著しく劣化させてしまう。集合体形成の要因は、空孔どうしの相互作用が引力的であることにある。空孔の引力相互作用は、これまでの材料科学の常識であった。もし空孔どうしの相互作用が反発的であれば、集合体の形成は抑制されると期待される。そのような金属は存在しないのだろうか? 本研究では、超高圧電子顕微鏡実験によってタングステン中の空孔の集合過程を調べ、空孔の反発相互作用を支持する結果を得た。
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