転位は、結晶中の原子配列が不連続になった線欠陥であり、その周囲に生じる弾性ひずみ場においては、ひずみ緩和のためにしばしば溶質元素の偏析が起こる。また、弾性ひずみ場では、溶質元素の拡散速度が完全結晶領域と比べて速くなる。このような転位特有の性質を利用して、添加元素を転位に沿って拡散させて転位芯近傍に偏析させることができれば、溶質元素を1次元的に配列した量子細線構造を創出することが期待される。 本研究は、金属元素を半導体/絶縁体内の転位配列に沿って拡散させ、導電性量子細線の開発を目指し、さらに転位配列を制御し、高密度化させることで、デバイス用に大容量化するための指針を得ることを目的とする。
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