研究課題
ペロブスカイト構造(ABO3)を有する正方晶強誘電体のうち、歪み量が7%を超える物質では大きな歪みのため5面体のピラミット構造となるが、電圧印加によって実験的に分極反転が確認されたものは、約7%のPbTiO3に限定されていた。本研究は上記成果を基に、22%の大きな歪みを有する正方晶のビスマス強誘電体の分極軸単一配向単結晶膜を作製し、電圧の印加によって一つの物質で4値の分極状態を示す存在を明らかにすることを目的としている。本年度は、(1-x)Bi(Mg1/2Ti1/2)O3-x Bi(Zn1/2Ti1/2)O3について、さらなる研究を行った。MOCVD法を用いて、従来からの(100)cSrRuO3//(100)SrTiO3を基板(100)配向のエピタキシャル膜の作製に加えて、(111)cSrRuO3//(111)SrTiO3を基板に (111)配向した膜の作製を行った。その結果、x=0 - 0.93の広い組成範囲でぺロブスカイト相単相から成る膜の作製に成功した。しかし正方晶単相の膜の領域は狭く、x=0.65で正方晶性(c/a比)が約7%以下の正方晶単相膜存在が確認された。また、x=0.93では、この相に加えて、より大きな15%以上の正方晶相の共存が確認されたものの、大きな正方晶相の単相から成る膜の作製の成功には至らなかった。また正方晶のみの膜では印可できる範囲の電界範囲では大きな強誘電性を見出すことができなかった。大きな正方晶性を有し、かつ高い電界が印可できる膜の作製が可能な別の組成の探索が不可欠であることが明らかになった。
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