研究課題/領域番号 |
24656383
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松田 厚範 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70295723)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | メカノケミカル / 無機有機 / ハイブリッド / プロトン |
研究概要 |
本研究では、固体に衝撃、粉砕などの機械的エネルギーを付与することによって化学反応を誘起する「メカノケミカル法」を無機物質と有機物質のイオンコンプレックス形成に基づくソフト複合化に適用し、無加湿条件でも高い導電率を維持する新規な無機-有機ハイブリッドの合成を行う。また、そのハイブリッド構造やプロトンダイナミックスを高分解能電子顕微鏡観察や水素核磁気共鳴分光法(1H NMR)などの分光法に基づいて解析するとともに、燃料電池の電解質として応用して中温無加湿条件での発電作動を実証する。 平成24年度は、実験の再現性を含めて、オキソ酸塩(MxHyAO4)のうち、M=CsのCsHSO4(CHS)に注目し、窒素含有複素環化合物のアゾール類のうち、トリアゾールC2H3N3(Tz)に注目して、xCsHSO4-(100-x)Tz系ハイブリッドを合成し、その特性評価を系統的に行った。 赤外分光測定結果から、ハイブリッドには、純粋なCHSやTzには観測されない吸収バンドが観測され、CHSとTzの間に新たな結合が形成されていることが確認できた。得られたハイブリッドの導電率の温度依存性および組成依存性から、CHSの含量が50mol%以上のハイブリッドでは、CHSの相変化やTzの融解に伴う不連続な導電率の変化は認められず、40~160℃の幅広い温度範囲において、高いプロトン伝導性を維持することを明らかにした。CSHとTzをハイブリッド化する際の熱処理とミリング処理の相違、また、CSH-Tz系ハイブリッドを電解質に用いた燃料電池の試作を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・再現性も含めたハイブリッドの基礎物性の評価を継続的に行って、データの収集に努めている。 ・熱処理とミリング処理の違いの明確化、燃料電池の構築に向けた取り組みも始めている。 ・学会、展示会等で積極的な発表を行っている。 これらの状況から「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
・1H MASNMR スペクトルのケミカルシフトから推定される酸・塩基強度の変化や、水素結合距離と導電率の関係について詳細な検討を行う。 ・窒素ヘテロ環を有するアデニン(C5H5N5)、グアニン(C5H5N5O)、シトシン(C4H5N3O)などの核酸塩基との複合化を行う。 ・ハイブリッドを電解質に用いた、燃料電池の構築と発電特性評価を実施する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
これまで通り、(1)消耗品:高純度試薬類、ガラス器具類、ミリング容器等、(2)旅費:電気化学会関連および固体イオニクス関連の学会、研究打ち合わせ等国内旅費に使用していく予定である。また、(3)装置の故障が起きた際には、修理費として支出したい。国際学会の参加は、予算の執行状況をみて、柔軟に決めていきたいと考えている。
|