研究課題/領域番号 |
24656383
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
松田 厚範 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70295723)
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キーワード | メカノケミカル / 無機有機 / ハイブリッド / プロトン / 混合アルカリ / 燃料電池 / 核酸塩基 / アゾール |
研究概要 |
本研究では、メカノケミカル法を用いて、無加湿条件でも高い導電率を維持する新規な無機-有機ハイブリッドを合成し、その構造・プロトンダイナミックス解析を行う。さらにこれを燃料電池の電解質として応用して、中温無加湿条件での発電特性を検証する。 平成25年度は、導電率向上とメカノケミカル合成の可能性拡大の観点から、先行研究において最も高い導電率が得られている90KHSO4-10WPA複合体を基本組成とし、これに他のアルカリ硫酸水素塩(RbHSO4、CsHSO4)を混合することで、90(0.5K・0.5M)HS-10WPA複合体(M=Rb, Cs)を合成し、アルカリ金属イオンの混合効果の検討を行った。その結果、単一のアルカリ金属を用いて合成した場合よりもアルカリを混合することで、最大2桁近く導電率が向上することを確認し、160℃において4.2×10-2 S/cmの極めて高い導電率を達成した。この導電率の変化は、硫酸水素塩とWPAの間で形成された新たな水素結合とWPAの持つKeggin構造中の結合状態の変化に基づくものと考えられた。ラマン分光法によりW=Od結合が短くなるほど導電率が向上するという知見を得た。また、リン酸二水素セシウム(CDP)と酸性雰囲気にてケト-エノール互変異性を示すことで知られるグアニン(プリン塩基)またはウラシル(ピリミジン塩基)を複合化することで新規酸-塩基複合体を合成し、その特性評価を開始した。 燃料電池の試作に関しては、50CsHSO4-50Triazolを添加したポリベンズイミダゾール(PBI)系ハイブリッド電解質膜を作製し、中温燃料電池発電特性の評価を行った。リン酸ドープ量3mol、Pt触媒使用量1mg cm-2、150℃無加湿条件で、開放端電圧OCV0.9V、最大電力密度320mW cm-2の非常に優れた発電特性が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
既にメカノケミカル合成した50CsHSO4-50Triazolを添加したポリベンズイミダゾール(PBI)系ハイブリッド電解質膜を作製し、150℃無加湿条件下で、高出力発電が可能であることを実証することができた。
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今後の研究の推進方策 |
中温領域でPt共存下で硫酸水素塩よりも高い化学的安定性を有するリン酸二水素セシウム(CDP)とグアニン(プリン塩基)またはウラシル(ピリミジン塩基)を複合化した無機酸-有機塩基複合体の特性評価を詳しく行う。 無機酸-有機塩基複合体を添加したポリベンズイミダゾール(PBI)系ハイブリッド電解質膜の連続発電特性などを詳しく調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
・前年度、消耗品の使用量が計画よりも少なかった。 概ね、予定通り予算は執行されていおり、最終年度に消耗品と旅費として使用する。
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