研究課題
レーザーアブーレーション(PLD)法および同軸型アークプラズマ堆積(CAPD)法を用いて,ボロンのドープ量を変化させたナノ微結晶ダイヤモンド膜の作製を行った.両方法ともに,ドーピングはボロンを予めグラファイトターゲットに含有させておくことにより実現した.PLD法では最大約14at.%までドープしたが,ダイヤモンドの格子定数はほぼバルク値であり,また吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)測定からボロン原子はナノダイヤモンド結晶の粒界を終端する水素原子と置き換わっている可能性が高いことが分かった.超伝導量子干渉素子(SQUID)による磁化率測定により,超伝導現象の発現を調べたが,超伝導状態の明確な出現は観測できなかった.コソードルミネッセンス測定で,欠陥に由来すると考えられる白色の蛍光が観測されたことから,ナノダイヤモンドの結晶性は極めて悪いと考えられる.このことが超伝導状態が発現しない原因の可能性が高い.CAPD法では,7.4 at.%までボロンドープを行うことによりダイヤモンド結晶の粒径がアンドープの2 nmから82 nmへと大幅に増大することが分かっている.また,PLD法の場合と異なり,ボロンドープにではダイヤモンド結晶の格子は約1.5%膨張し,価電子半径がカーボンより大きなボロンが格子中に存在していることが示唆されている.CAPD法により作製される試料の多量の欠陥が含まれると考えられ,試料の体積を増やすなどの工夫を行ったが明確な超伝導状態は観測できなかった.物理気相成長法で生成するナノダイヤモンドは欠陥が多く結晶性が悪い.超伝導を発現させるには,まず結晶性の高いナノダイヤモンド結晶を成長する必要がある.
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Trans. Mat. Res. Soc. Jpn
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Jpn. J. Appl. Phys.
巻: 53 ページ: 050307
doi:10.7567/JJAP.53.050307
Proceedings of International Forum for Green Asia
巻: 1 ページ: 17-18
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