製紙スラッジ(PS)は製紙産業における典型的な廃棄物である.しかしPSにはミネラル分が含まれており,加えてパルプも損傷を受けているためリサイクルし難い.本研究ではこのPSに対して化学処理と機械的処理を組み合わせた抽出方法を適用してセルロースナノ繊維の抽出を行った.そして生分解性樹脂と組み合わせたグリーンコンポジットを試作しその力学的特性の評価を行った.その結果,引張強さ115MPa,ヤング率6.8GPaの引張特性を有するグリーンコンポジットが得られた.この高い強度特性はセルロースナノ繊維による補強に加えて抽出時の超音波照射によって微細化したミネラルの補強効果によってもたらされたと推察される.
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