研究課題/領域番号 |
24656395
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
堀田 篤 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (30407142)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ポリマー / ナノファイバー / グラフト重合 / 複合材料 / コンポジット |
研究概要 |
ナノファイバー構造にグラフト重合が有効に作用するかを検討した.まずは,ポリマーをナノファイバー化する手法の確立をし,その手法の選定および装置の立ち上げを行った.具体的には,共重合ポリマーのミセル化手法でのファイバー作製およびエレクトロスピニング装置を使用したポリエチレンやポリプロピレンなどの汎用ポリオレフィン材料のナノファイバー化手法を条件最適化し,どの手法でターゲットとなるナノファイバーが作製可能かを見極めた.エレクトロスピニング装置においては電圧や極板間距離など条件の最適化により,ポリマー(ポリウレタン,ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリビニルアルコール,スチレン-イソプレン-スチレン共重合ポリマー)のナノファイバー化ができた.合成したナノファイバーを走査型電子顕微鏡により構造解析を実施した.それぞれのポリマーでナノオーダーのファイバーであることを確認した.新たに導入した手法である超音波応答測定によって,今後重要となってくる,機能性に大きく影響するナノファイバーの配向度分析法を考案した.予備実験としてアイソタクチックポリプロピレン(iPP)を作製しバルクでの測定を試みた.音波を配向方向と垂直方向で測定することによって,ポリマー分子鎖が配向しているかを評価した.すなわちiPPをフィルムに成型し,引張試験によるひずみの大きさの大小で,配向方向(延伸方向)と垂直方向(延伸方向に垂直な方向)の超音波伝播速度の違いを確認した.紫外線照射による光グラフト重合法による機能性グラフト層の重合も試みた.具体的には,生体適合性があるポリブチレンサクシネートフィルムに親水性のアクリル酸をグラフト重合させることに成功した.また,ポリウレタンフィルムにキトサンをグラフト重合させることに成功し,表面部分であるキトサングラフト層によって,金属の吸着現象を確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリマーをナノファイバー化する手法の確立と装置の立ち上げに成功し,構造評価ができたこと,フィルムにグラフト重合をし,機能性を付与できたことからおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には計画どおりに進める予定である.これまでの研究により,フィルムに機能性ポリマーをグラフト重合し,ポリマーコンポジットを作製することができるようになってきた.これをナノサイズのファイバーにグラフト重合しようとした場合,多くの問題も予測される.そのうちの1つが,重合過程でファイバー形状をいかに保つかの問題である.本件については重合過程の実験設定や実験条件の見直しや,ファイバー形状保持のための予備実験が必要となる可能性がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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