ベンゼン溶媒中で作製したタングステンカーバイド微粒子試料のキャパシタ用材料としての評価を行った。試料作製では、アノード電極として純タングステン線、カソード電極として先端に純タングステン板を溶接した鉄製チップを装着した超音波ホーンを用いた。ベンゼン中(または液体エタノール中)での超音波キャビテーションの生成は、超音波ホモジナイザーを用いて、 出力600 W、周波数 20 kHzの条件で行った。放電は安定化電源を用いて、直流電圧55Vで行った。ベンゼン溶媒中で作製した試料のSEMならびにTEM観察より、試料はアモルファスカーボン中にタングステンカーバイド微粒子が分散した状態であり、また、タングステンカーバイド微粒子は数層のグラファイト層に覆われていることを確認している。キャパシタ材料としての評価は、サイクリックボルタモグラムにより行った。サイクリックボルタモグラムの測定は、1MのH2SO4溶液中で、作用極に作成した試料を塗布・接着させて行った。参照極としてAg/AgCl電極を用い、電圧の掃引速度は1mV/sとした。サイクルは100回まで行っている。その結果、作製した試料は比較的高い静電容量を持つことが示唆され、また、100回のサイクルでは静電容量にほとんど変化はなかった。 また、作製したタングステンカーバイド試料中の混入カーボン不純物の除去を水素ガスにより行った。作製した試料を、濃塩酸溶液、10%H2O2溶液、KOH(8M)溶液で精製したが、このような湿式精製では除去できないグラファイトカーボンの不純物が残留する。そこで、温度800~1100℃で水素ガス精製を行った。水素ガス精製後の試料をSEM観察すると、タングステンカーバイド微粒子同士の焼結が進行しているものの、混入グラファイト不純物の除去が確認され、水素ガス精製の効果が示唆された。
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