研究概要 |
本年度は、窒化処理した鉄合金の表層に生成する窒化物層の強度および成長速度に及ぼす微細窒化物の影響を調べるため、高純度純Feおよび1mass%のMn, Si, Cr, Al, Ti, VおよびMoを添加したFe-M 2元合金に570℃のNH3 -H2混合ガス中で種々の時間ガス窒化を施し,試料表面に生成する化合物層の相構成、成長速度および硬度を調べた。 X線解析およびEBSD測定により,純鉄では試料表面にε‐Fe3Nが,その内部にγ′‐Fe4Nが生成し,化合物層は保持時間の平方根に比例して厚くなることが確認された.一方,Si,Alの添加により,ε相が薄くなり化合物層は主にγ′で構成されることが明らかとなった.また,Alを除く全ての元素の添加により化合物層厚さは増加することが分かった. ナノインデンテーション法を用いて、純鉄の窒化材における化合物層の硬度分布を測定したところ,γ′相中では試料内部ほど硬度が増加し,フェライト部で急激に硬度が減少することが明らかとなった。一方、CrやAlを添加すると拡散層硬度は顕著に増加する一方で、化合物層硬度はそれほど変化せず、化合物層と拡散層硬度の差が減少することを見出した。このことは、微細なCrやAl窒化物は拡散層を析出強化する一方で化合物層に対しての析出強化能は小さいことを意味している.
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