研究課題/領域番号 |
24656399
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山浦 真一 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50323100)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 非晶質 / 空気電池 / マグネシウム / 燃料電池 |
研究概要 |
マグネシウム(Mg)は地球上に豊富に存在する。例えば国内の鉱山にも未利用の資源が存在し、また、海水1キログラム中にもMgが1グラム以上含まれるなど、事実上、資源は無尽蔵である。最近、地球環境・エネルギー問題の解決のため、この豊富なMg資源量に着目したMg-空気電池に期待が集まっている。 本研究では、Mg-空気電池に使用する新しい負極材料としてMg基非晶質合金をターゲットとして、その組成の最適化、溶解過程の解明により優れた放電特性を有するMg-空気電池を創製することを目的としている。まずH24年度は、液体急冷法および高周波熔解鋳造法を用いて試料を作製した。液体急冷法を用いてMg-Ni-Pd非晶質合金急冷薄帯試料(厚さ50micron)を作製した。また、高周波熔解鋳造法を用いてMg-Y-CuおよびMg-Y-Cu-Pd非晶質合金丸棒(直径2mm)を作製し、電池発電試験に使用した。電解液は18wt%NaCl水溶液、空気極にはカーボンフェルトを使用した。その結果、Mg-Ni-Pd非晶質合金急冷薄帯を負極に使用した場合、約1.1Vの電圧が発生した。また、Mg-Y-Cu非晶質合金、Mg-Y-Cu-Pd非晶質合金丸棒材の場合は、2Ωの抵抗を使用したところ、それぞれ5mW、50µWの電力が発生した。Mg-Y-Cu-Pd非晶質合金試料はPdの添加効果により耐食性が向上し、溶解電流が小さくなったと考えられる。他にMg-Ca-Al合金も作製しており、現在試験遂行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究においては、Mgに添加する元素の選定を軸に進めてきた。その中で耐食性を向上させる添加元素、低下させる添加元素の知識がようやく蓄積されてきたところである。今後、負極材料としてのMg基合金の組成が最適化され、放電容量の向上に結び付くと期待している。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度から開始している材料探索を引き続き行い、出来るだけ負極特性に優れた非晶質合金を見出すと共に、高周波熔解鋳造法に加えてさらに今年度からは粉末ガスアトマイズ法等を用いて粉末・粒子形状サンプルを作製し、負極特性を調べる。このようにして得られた新規Mg基非晶質合金サンプルを使用し、金属-空気電池の発電特性試験(放電試験、電流-電圧試験など)を行う。さらに上記評価結果を受けて、正極材や電解質等の電池の他の構成要素についても検討を加える予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
計画の変更を伴わない。次年度の研究費としては、主に金属素材や電池作製用資材などの実験に伴う消耗品(金属地金類、薬品類、ガス類、試料作製装置用消耗品、評価冶具作製)の補充が主なものである。旅費については、成果発表とともに研究者交流や情報収集を目的として、計上している。
|