研究課題/領域番号 |
24656400
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平田 秋彦 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90350488)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 金属ガラス / 原子構造 / 電子顕微鏡 / 電子回折 / ガラス転移 |
研究概要 |
本研究の最終的な目標は、金属ガラスの過冷却液体状態とガラス状態における局所構造の違いを、オングストロームビーム電子回折法を用いることにより明らかにすることである。具体的には、過冷却液体領域の広い金属ガラス試料を用い、電子顕微鏡内で加熱を行い、過冷却状態における電子回折実験を試みる。本年度は、当初の計画通り、最適な金属ガラス合金系の選定と、電子顕微鏡内でのガラス転移点の決定の2点について検討を行った。まず、過冷却液体状態の局所構造を観察するために、十分に広い過冷却液体領域を持つ金属ガラス試料の選定を行った。今回用いた試料は、80mm径までのシリンダーガラスが作製可能なPd-Cu-Ni-Pであり、広い過冷却液体領域を持つほかに、加熱時に酸化しにくいという特長も備えている。今回はこの試料を用いてその場加熱実験を行った。試料加熱には電子顕微鏡用2軸傾斜加熱試料ホルダーを用いた。試料を加熱した際、ある温度で試料ドリフトが大きくなったため、この温度近傍がガラス転移点と思われるが、現時点で定量的な決定はできていない。ガラス転移温度は加熱速度にも依存するため、適切なパラメータ設定が必要と思われるので、今後この点に注力していく予定である。しかし、さらに加熱することで結晶化が起こったため、おおまかな結晶化温度は決定することができた。この結晶化以下の温度域を今後の実験で使用することにより、過冷却液体状態の観察が可能であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広い過冷却液体領域を持つPd-Cu-Ni-P金属ガラスを用いて、電子顕微鏡内その場加熱実験を行い、おおよその結晶化温度を見積もることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた基礎データをもとに、実際に過冷却液体状態におけるオングストロームビーム電子回折の取得を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の使用額が予定をわずかに下回ったため、翌年度に充当することとなった。大幅な予定の変更はないが、翌年度の研究費と合わせて、小額物品費、消耗品費、および旅費に充てる予定である。
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