研究課題/領域番号 |
24656401
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新家 光雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50126942)
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研究分担者 |
仲井 正昭 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20431603)
稗田 純子 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40566717)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | チタン-マグネシウム合金 / 非平衡プロセス / 耐食性 / 力学的特性 |
研究概要 |
本研究では、航空機等の大型輸送機器や埋め込み型生体器具等への適用を目指して、合金状態図において固溶相を持たず、アーク溶解等の通常の合金作製プロセスでは合金化できない軽量・高耐食性金属であるチタン(Ti)と実用金属材料中最も比重の小さいマグネシウム (Mg)との合金化およびその力学的特性および耐食性といった基礎的な材料特性を明らかにすることを目的としている。平成24年度は、非平衡プロセスであるDCマグネトロンスパッタ法を用いて、ガラスおよびシリコン基板上に任意の組成のTi-xMg(at%) (x=0, 30, 50, 70, 100) 合金薄膜を作製した。作製したTi-xMg合金薄膜を生理食塩水へ浸漬し、TiおよびMgの溶出量の調査を行った。Ti-xMg合金薄膜の組成は、投入電力を変えることで変化させた。TiおよびMgの濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)および電子線マイクロアナライザにより分析し、表面状態をX線光電子分光法により分析した。さらに、結晶構造解析をX線回折法 (XRD) により行った。作製したTi-xMg合金薄膜を37℃の生理食塩水に7日間浸漬させ、TiおよびMgの溶出量をICP-OESにより測定した。Ti-xMg合金薄膜のXRDパターンより、Mgの割合が増加するに伴い、各ピークは低角側にシフトした。Mgの濃度増加に対し、(200)面の格子定数が線形に変化することから、Ti-xMg合金は固溶体となっていると考えられる。Ti-xMg合金薄膜を生理食塩水に7日間浸漬させた場合、Mgの含有量が50at%以下の合金薄膜では、Tiの溶出量はICPの検出限界値以下であった。一方、Mgの含有量が70at%の合金薄膜ではMgの溶出量が増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、任意の組成をもったTi-Mg合金薄膜の作製および浸漬試験による膜の組成と各元素の生理食塩水への溶出量との関係の調査・検討を目的とし、それを達成した。ゆえに、本研究は計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、生体用金属材料としての可能性を探るために、引き続きTi-Mg合金薄膜を用いたTi-Mg合金の生物学的生体適合性の評価を行うとともに、生体用以外の超軽量・高耐食性構造材料としての適用を目指した非平衡プロセスによるTi-Mg合金バルク体の作製法の探索と力学的特性評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、非平衡プロセスによるTi-Mg合金薄膜およびバルク体の作製に必要なTiおよびMgターゲット、粉末原料としてTi粉末およびMg粉末を購入する。また、エタノールやアセトン等、実験器具や試料の洗浄等に必要な試薬類を購入する。さらに、本研究成果を国内外で広く公開するために、国内および国外での研究成果発表および情報収集のための旅費を計上している。また、研究成果を海外のインパクトのある雑誌に投稿するために、英文校閲代を計上している。本研究では、SEM、EPMAおよびXPS等の各種分析に関して、東北大学金属材料研究所内の共同利用装置を使用するため、共同利用装置使用料を計上している。
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